中野学校創設に関与した岩畔豪雄の下で、「満州」・インド・ビルマ工作に奔走する若手将校・香川義雄。左翼運動にかかわる弟たち、苦悩する地方名望家の父−−。残された13冊のノートから浮かびあがる、日本陸軍のアジア侵略への軌跡。新防衛大綱、憲法改悪などの動き強まるなか、軍防諜機関の実態にせまる衝撃の一冊
目次や構成
はしがき
- 1 残された十三冊の大学ノート
地方名望家の父・錬弥/弟・信雄の治安維持法違反事件/父・錬弥の苦悩/弟・信雄、検挙/革命運動戦士の死
ほか - 2 "あつかいにくい"若手将校
弟・敏雄の同盟休校事件/満州全域を転戦し、大尉に昇進/弟たちの事件の影響/息子たちの行動に慟哭する母・貞/弟・敏雄が反戦ビラ貼る
ほか - 3 特殊任務への出発
一風変わった中隊長ぶり/軍服を脱いで革ジャンパーに/結婚生活へ
ほか - 4 一家を襲った左翼思想への弾圧
敏雄の影響を受けた弟・文雄/特高に連行された弟・文雄/一家への大きな打撃
ほか - 5 秘密情報機関「山」の創設
料亭で受けた"新しい任務"/深く潜行した「山」の存在/中野学校の創設に関与/「銃剣に代わる科学による二・二六」
ほか - 6 「満州国」での特殊任務
幕僚として、再び「満軍」の顧問に/「満州国」での兵役法施行/海賊船で戦略物資を密送/対ソ戦準備から対米英開戦/官僚機構化する「軍」の組織
ほか - 7 インド工作に暗躍する光機関
情報工作にあたる私服の軍人/インド独立に関与するF機関/チャンドラ・ボースと東条首相の会見/伝単(ビラ)を空中撒布
ほか - 8 ビルマ作戦と十五年戦争の破局
インパール作戦と光機関/ニューデリーでの裁判/片倉参謀の証言/在留日本人の勝ち組と負け組/「軍歴二十三年」に幕
ほか - 9 情報将校たちの戦後
虚構の「アジア解放戦争論」/CIAなど現代の「情報活動」/「山」とは何だったのか/日米安保体制下の情報活動/憲法九条改悪と情報工作の強化
ほか - 参考文献
著者情報
岩井忠熊
陸軍・秘密情報機関の男
定価1,650円
(本体1,500円)
2005年2月