長年の思想・賃金差別を闘い和解を勝ち取った沖元は、定年間近に社運をかけた開発プロジェクトに組み込まれ、そのひどい労働実態を初めて知る。ある日若手研究者の立川から母親の介護休暇をとりたいと相談されるが…。働きやすい職場づくりのために、労働者との絆を新たに結びながら奔走する共産党員の姿をリアルに描く。
目次や構成
「長い三十数年の時を経て、差別是正の和解後三年余り経てやっと、立川はもちろん磯部たちとの間で、本音で向き合い、たがいの意思のやりとりができるようになったと言えるのだろうか。それは、自身が開発したボードの通信機能になぞらえれば、『握手』を意味するハンドシェイクの回路が働いたことになる。(本文より)
著者情報
田島一
1945年愛媛県生まれ。日本民主主義文学会副会長、日本文芸家協会会員。著書『遠景の森』『湾の篝火』『青の画面』『ハンドシェイク回路』など。