
滋賀・宮町遺跡の水田下からこつ然と現われた幻の紫香楽宮。大仏造営の野望たぎらせ,都を転々と移した聖武天皇の謎の彷徨はなにを意味するか。遺跡発掘調査と考古学の成果をもとに,古代東アジア世界での8世紀前半の日本の律令国家の実像に迫る。
目次や構成
[目次]
- 序章 聖武天皇の彷徨
- 見つかった紫香楽宮
- 紫香楽宮をめぐる謎
- 第一章 紫香楽宮跡を求めて
- 紫香楽宮跡の指定
- 伽藍をもつ寺院跡
- 紫香楽宮と宮域の復原
- 宮町遺跡の柱根
- 第二章 藤原広嗣の乱と恭仁宮・京の造営
- 東国への行幸
- 近江路へ
- 恭仁宮・京の造営
- 恭仁宮・京の復原案
- 発掘された恭仁宮・京
- 京仁宮・京をめぐる問題
- 第三章 紫香楽宮と大仏造立
- 紫香楽宮の離宮造営
- 大仏の造立
- 聖武天皇と行基
- 大仏造立の虚構
- 大仏造立の背景
- 第四章 紫香楽宮の朝堂を掘る
- 宮町遺跡の発掘
- 見つかった朝堂
- 大規模な宮都
- 三千余点の木簡
- 第五章 難波遷都と紫香楽宮遷都
- 遷都の意向調査
- 難波遷都の謎
- 紫香楽宮遷都の背景
- 山火事と地震
- 第六章 聖武天皇の野望と東アジアの国際関係
- 恭仁宮・京と洛陽
- 紫香楽宮大仏と竜門大仏
- 聖武天皇の彷徨と壬申の乱
- 彷徨を私考する
- 聖武天皇の野望
- 紫香楽での山火事
- 終章 古代国家と宮都
- 渤海使節
- 聖武天皇と天命思想
- 天皇と古代都市
- あとがき
- 参考文献