
「経済大国」という名に隠れて,近代兵器の更新・生産に異常な関心を寄せ,利潤追求にしのぎを削る日本の軍事産業。アメリカとの関係を軸に隠されたその本質と実態に迫る! 戦後初期からの長年の研究を結実させた大著。
目次や構成
まえがき
- 序
- 一 「安保繁栄論」の誤り
- 二 アメリカに利用される日本製品
- 三 ソ連崩壊後の軍事産業
- 四 日本の軍事産業の国際的位置
- 五 核戦略の継続
- 六 軍事産業と科学者の役割
- 第1章 軍事産業の理論問題
- 一 独占資本主義のもとでの軍事化
- 二 軍需物資の性格と特徴
- 三 社会的再生産による軍事生産
- 四 軍事生産における「空費」の拡大
- 五 経済軍事化の特徴
- 六 軍事生産と技術、経済発展の関係
- 第2章 敗戦と軍事生産の再確立
- 一 敗戦と日本経済
- 二 「日米経済協力」と「自立化」
- 三 マーカット声明と「日米経済協力」
- 四 戦後経済の軍事的性格
- 五 「高度成長」とはなにか
- 第3章 戦後軍事生産確立への道
- 一 トップレベル作業と経団連の対応
- 二 自衛隊装備品による軍事生産の基盤確立
- 三 池田・ロバートソン会談の基本方針
- 四 再び「安保繁栄論」の誤謬について
- 五 国家独占資本主義のもとでの経済軍事化の指標
- 六 「自主」装備の本格化
- 第4章 ロケット、ミサイル兵器の生産のはじまりとその特徴
- 一 宇宙開発の軍事的利用の危険
- 二 ミサイル兵器システムの生産体系
- 三 ロケット、ミサイル兵器の研究開発の初期段階と条件
- 四 ロケット、ミサイル兵器研究・開発の展開
―誘導重視と浪費の集積― - 五 ロケット、ミサイル兵器生産への財界の対応
- 六 ナイキ、ホーク「国産化」生産体制
- 第5章 四次防後の軍事生産の動向とその危険な役割
- 一 「基盤的防衛力」構想を貫く「自主開発」
- 二 軍事費の増大と軍事生産の整備・充実
- 三 意識的な防衛論議の台頭
- 四 武器輸出規制の緩和要求
- 第6章 一九八〇年代初頭の新たな展開
- 一 「五三中業」による柔軟対応
- 二 積極、公然化した財界の要求
- 三 軍事生産の新たな段階
- 第7章 軍事増強と国民経済
- 一 軍備拡大競争の進展
- 二 軍事力の規定要因
- 三 体制維持のための軍拡
- 四 国民生活への全般的影響
- 五 国民経済への質的影響
- 六 軍拡要因と経済への波及効果
- 第8章 日本の軍事生産の質的転換
- 一 平和経済から軍拡・軍事経済への転換―第一の理由
- 二 武器輸出三原則の空洞化―第二の理由
- 三 軍事費の増大と軍事生産―第三の理由
- 四 憲法と自衛隊・軍事生産―第四の理由
- 五 軍事生産と資源の浪費―第五の理由
- 第9章 「ガイドライン」後の兵器生産における日米協力
- 一 日米同盟関係の深化
―「ガイドライン」による質的転換― - 二 「ソ連脅威論」によるアメリカの負担分担要求
- 三 アメリカの要求と日本独占資本
- 四 日米協力と兵器の共通化
- 五 「武器輸出三原則」の形骸化
- 六 憲法無視の日米安保
- 七 FS-X共同開発
- 八 安保次元にすすむ日「韓」協力
- 九 軍事中枢の日「韓」運命共同体化への道
- 一 日米同盟関係の深化
- 第10章 日米軍事技術協力の問題点
- 一 アメリカの対日援助目的
- 二 初期における日米軍事技術協力
- 三 日米軍事技術協力が引き起こす問題
- 第11章 アメリカの核兵器の開発と生産
―高度情報通信システムと核―- 一 アメリカの保有する核弾頭数
- 二 核兵器生産の進展
- 三 C3Iと高度情報通信システム
- 四 巡航ミサイルの生産
- 五 レーガン政権と軍事生産
- 第12章 旧ソ連の軍事戦略と核兵器の開発
- 一 旧ソ連における核兵器の研究・開発の推進
- 二 マレンコフからフルシチョフへ
- 三 フルシチョフ時代の軍事教義
- 四 ソコロフスキーの『軍事戦略』
- 五 プレジネフ時代と軍事費の増大
- 六 ソ連軍機能の拡大とアフガニスタンへの軍事介入
- 第13章 SDI計画と対米軍事技術供与
- 一 一%枠突破と対米軍事技術供与決定
- 二 日本の汎用技術への関心
- 三 攻撃的なSDI構想
- 四 SDI研究の問題点
- 五 対米軍事技術供与の積極的推進
- 第14章 先端技術の軍事利用
- 一 「ハイテク・ウォーズ」
- 二 わが国の技術開発と軍事技術
- 三 先端技術と近代兵器体系
- 四 「ハイテク兵器」の研究・開発
- 五 対米軍事技術供与とSDI参加
- 六 SDI研究の技術的波及効果問題
- 第15章 現代資本主義と軍備拡大
- 一 『帝国主義論』と現代
- 二 国防報告にみる核軍拡の推進
- 三 「ソ連脅威論」と核軍拡
- 四 軍拡のエンジン―軍産官学複合体
- 五 先端技術の軍事規制
―半導体をめぐる日米摩擦― - 六 軍事産業基盤の強化
あとがき
巻末
図表一覧
索引(人名、企業・団体名、事項)
著者情報
木原正雄

日本の軍事産業
定価5,126円
(本体4,660円)
1994年8月