
保守戦犯政治の中で歴史を偽造してきた理不尽な教科書検定は,「書かせる検定」の新たな危険な段階を迎えている。教科書検定裁判支援運動の中心にいた著者が,教科書検定の経緯と教師・父母・研究者のたたかいの軌跡を体系的に書き下ろす。
目次や構成
[目次]
- はじめに―教科書はいま
- 序章 戦争と教科書
- 1 天皇制教育と国定教科書
- 2 アジア太平洋戦争と皇国臣民錬成の教科書
- 第一章 占領下の教科書
- 1 戦後の国定期
- <1>「黒塗り」教科書で始まった戦後
- <2>文部省著作(戦後国定)社会科教科書
- 2 戦後、検定制度の発足
- <1>新しい教科書制度
- <2>検定・国定の二本立て
- <3>アメリカの世界戦略と日本の教育・教科書
- 1 戦後の国定期
- 第二章 教育の反動化と教科書
- 1 民主的な教科書作りのあけぼの
- <1>不戦の誓いと検定教科書
- <2>民主的な教科書の創造とその担い手
- 2 第一次教科書攻撃と「F項パージ」事件
- <1>民主党の『うれうべき教科書の問題』
- <2>「うれうべき」パンフレットと教科書界
- 3 五〇年代後半の教育反動化とのたたかい
- <1>よい教科書を作る運動
- <2>保守党の国定回帰願望―教科書法案
- <3>検定制度の反動化
- <4>教育反動化の激流の中で
- 1 民主的な教科書作りのあけぼの
- 第三章 日米安保体制下の教科書
- 1 検閲化する教科書検定
- <1>五八年版学習指導要領と検定
- <2>六〇年代の検定
- 2 採択面からの「国定」化
- <1>権利としての教科書無償の運動
- <2>「無償」という名の教科書統制
- 3 教科書「冬の時代」
- <1>財界の教育要求と教科書検定
- <2>神話教育の復活
- 4 家永教科書裁判
- <1>教科書検定違憲違法訴訟の提起
- <2>『新日本史』への検定処分
- <3>どのような検定が行われたか
- <4>法廷の内と外のたたかい
- 1 検閲化する教科書検定
- 第四章 国民の教育権確立のたたかい
- 1 七〇年代初頭、教育の二つの流れ
- <1>国民の教育権を確定した杉本判決
- <2>中教審七一答申
- <3>七〇年代における教科書問題の正流と逆流
- 2 変わりゆく教科書
- <1>八〇年代を先取りする学習指導要領
- <2>「日の丸・君が代」問題と教科書
- <3>元号法制化と教科書の紀年法
- <4>検定制度の「改正」
- <5>変わりゆく社会科教科書
- 1 七〇年代初頭、教育の二つの流れ
- 第五章 国際問題化する教科書検定
- 1 第二次教科書攻撃
- <1>教科書「偏向」攻撃、再び
- <2>小学校国語教材への攻撃
- <3>社会科教科書は偏向しているか
- 2 国際批判にさらされた教科書検定
- <1>「侵略→進出」問題
- <2>アジア諸国からの抗議・批判
- <3>検定で教科書はどのように変わったか
- <4>検定改善要求の動き
- 3 侵略戦争の実相究明―家永教科書裁判三次訴訟
- <1>家永教科書裁判、八〇年代のたたかい
- <2>天皇制・侵略戦争記述への検定を告発
- 1 第二次教科書攻撃
- 第六章 「戦後五〇年」をめぐる分岐
- 1 教科書に真実を求めて―二つの教科書裁判
- <1>最終段階を迎えた家永教科書裁判
- <2>家永三次訴訟と「戦後五〇年」
- <3>横浜教科書裁判
- 2 教科書の大きな二つの流れ―21世紀に向かって
- <1>臨教審路線の教育と教科書
- <2>九〇年代の教育を象徴する教科書
- <3>侵略戦争記述の改善
- <4>残された問題
- <5>教科書問題と戦争責任論
- 1 教科書に真実を求めて―二つの教科書裁判
- おわりに―教科書はこれから
- <年表>教育・教科書問題・教科書裁判
- 参考文献
- あとがき
著者情報
徳武敏夫

教科書の戦後史
定価2,670円
(本体2,427円)
1995年10月