
太古より「宇宙人の星」とされてきた火星――注目の惑星の生命探査,資源開発,人類の定住シナリオまでを興味深く描く。NASAで活躍してきた著者が火星と人類のかかわり,探査の歩みと最新の現状,今後の計画を多数の写真とともに紹介。
目次や構成
[目次]
- はじめに
- 一 文芸復興以前
- 古代人の見た火星 ―なぜ火星は古代人の注意を引いたのか?
- エジプトにおける天体観測の発達
- カルデアの占星術師たちと火星
- ギリシャの天文学 ―アリストテレスの天動説
- 中世における宗教的偏見
- 二 近世における望遠鏡による火星の観測
- コペルニクスの地動説と火星の逆行運動
- チコ・ブラエの観測とケプラーの理論
―火星運動の観測が惑星の楕円軌道発見に果たした役割 - 望遠鏡の発明とガリレオの観測
- ニュートンの天体力学
- 望遠鏡による火星観測の問題点
- 火星の地図と地名
- 三 運河論争と空想科学小説
- スキアパレリと火星の運河
- ローウェルの火星天文台
- 空想科学小説と火星人 ―2人のウェルズ
- 地球からの訪問者 ―ジョン・カーターと火星の王妃
- 空想科学小説から科学未来小説へ
- 四 宇宙船以前の火星に関する科学的知識
- 太陽系のなかの火星
- 地球から見た火星 ―十数年ごとにある火星の大接近
- 火星の夏と冬 ―火星にも四季がある
- 表面の模様 ―暗黒部や極冠の季節変化
- 気圧と気温 ―火星の大気
- 白雲と黄雲 ―火星の砂嵐
- 五 宇宙船による火星の観測
- ロケットの歴史
- 米ソの宇宙開発競争
- どのようにして火星に行くのか
- マリナー4号、6号、7号火星の近傍を通過
- マリナー9号火星を回る軌道船となる
- バイキング宇宙船、火星に着陸す
- 六 宇宙船の観測により明らかにされた新事実と問題点
- 火星の表面 ―地形と土壌
- 火星の大気と気象
- 火星の過去 ―水の問題
- 火星の内部
- 生命の問題 ―南極で発見された火星の石
- 火星の月
- 七 新しい火星探査と将来計画
- なぜ火星に行くのか
- バイキング以後
- 「火星直接飛行」計画
- マルス・パスファインダーの成果
- マルス・サーベイヤーの任務
- 将来計画 ―グローバル・サーベイヤーと有人火星飛行
- おわりに(火星の地球化と人類の移住)
- 索引
著者情報
島崎達夫

火星と人類
定価2,090円
(本体1,900円)
1999年1月