
変貌したロシアの現実をかいま見た冬の十日間!
新ロシア紀行 見たこと、聞いたこと、読んだこと
聴濤弘=著
ソ連崩壊から十余年、変貌したモスクワの様子は? ソ連問題専門家の著者が、十五年ぶりに訪れたロシアの現状を伝えるエッセイ風ルポルタージュ。街にあふれるブランド製品、暗躍するマフィア、癒着する財閥と国家官僚……。なつかしさの一方、あまりの変わりように驚きとまどいながらも飾らぬタッチで描く。
目次や構成
- まえがき
- 第1章 十五年ぶりにロシアを訪ねて
ソ連崩壊後のロシアを自分の目と耳で/変貌したモスクワの様子/ 教会の街モスクワ/「なつかしい」場所/あふれるブランド製品/ 「新ロシア人」のための街づくり/ペテルブルグでのタクシー・トラブル/ いまは何経済?/ネフスキー通り/物乞いと老人/変わらぬロシア人/新ロシアとお酒
- 第2章 驚くべき社会・国家構造
暗躍するマフィア、癒着する財閥と国家官僚/なぜこんな社会が?/ 国家財産を誰が買えたのか?/国家財産処理で汚職と利権争い/ エリツィン一族/新ロシアの財閥/まじめに働く元共産党地区委員長/ 市場の「テント」もマフィアの支配下に/"警察官に注意せよ"/ 国民はどうやって暮らしているのか?/失業問題
- 第3章 新ロシアの農民とインテリゲンチャの状態
農業問題を聞きにモスクワ大学へ/「コルホーズ」と自作農民/ タガン州の人に聞いた農民の話/かつての時代のリンゴ栽培/ 荒廃した現在のコルホーズの実態/アルバート通りの本屋で/ いまインテリゲンチャは?/親が心配する子どもの教育/テレビと社会/ 殺人事件ものとドストエフスキー
- 第4章 生まれている新しい思想潮流
アバルキン氏に聞くロシア経済学界の動向/経済学の教科書の問題/ マルクス主義経済学派/ベストセラー『なぜロシアはアメリカではないのか』/ 天然資源を食い物にする財閥/一〇年しか持たない石油パイプライン/ 再度の国有化論/ロシアはいくらで売れるか?/プーチンは強いのか弱いのか/ テレビ映画にみたロシアの現実/プーチンの「強い国家」の建設/ これからロシアはどうなるのか
- 第5章 新ロシア・社会面のアラカルト
地下鉄料金を知らない青年/今でもある「ピオネール」キャンプ/ 風邪ぎみで薬屋に行ったときの話/病院のベットでウォッカを飲むための抜け道/ 国家職員のための特権病院/すっかり変わった買い物のシステム/ 食べ物の味まで変えてしまう資本主義/ブイストロ/花屋さんとカスピ海
- 第6章 教科書に見る「二〇世紀のロシア史」教育
ロシア連邦教科書セット/二〇世紀のロシア史の大筋の紹介/ 覇権主義外交についてどう教えているか/千島問題についての大国覇権主義/ ブレジネフの「誤算」−アンゴラ、イエメン問題/レーニンとロシア革命のこと/ さまざまなネップ論/囚人労働について/食糧難による暴動は本当だった
- 第7章 新ロシアで「考えたこと」
ロシアの市場経済の功罪を目にして/効率性とは何か/ 労働者は生産手段の「主人公」になれるか?/ 官僚主義をふせぐために/おわりに
- 参考文献
著者情報
聴濤弘
1935年生まれ。国際問題研究者。元参議院議員。『ソ連はどういう社会だったのか』など著書多数。

新ロシア紀行 見たこと、聞いたこと、読んだこと
定価2,090円
(本体1,900円)
2004年1月