
日本の恵まれた「母なる大地」が急速に劣化し「病んだ土」「砂漠の土」への道を歩みつつある。化学肥料や農薬の多投による生きものへの悪影響も無視できない。古くからの人類と土とのかかわり、土のしくみと進化をたどり、環境と自然の力を最大限に利用した「健康な土」「肥沃な土」を取り戻す方途を提案する。
目次や構成
[目次]
- はじめに
- 序 土が危ない!
- 一 母なる大地への思い
- 文学に記されている土
- 祖先が残した"黒い土"
- 二 土が病んでいる―人類が初めて経験する異変
- 激変した農村
- 病んでいる土の姿
- 一 母なる大地への思い
- I 土と人間のかかわり
- 一 人類が育んでいた自然観・土観
- 自然と共生してきた狩猟・採集時代
- 自然との共生にほころびをもたらした農業
- 農業の工業化―ますます広がる自然との乖離
- 土の危機の激化―文明は大地を遠ざける
- 二 人類が荒野を残す
- 人の手による砂漠化と不毛化
- 何を変えればいいのか
- 三 自然との共生を求め続けた人類
- 「持続可能な社会」とは?
- 自然の力に依拠した農業
- 一 人類が育んでいた自然観・土観
- II 土のしくみと進化
- 一 土とは?
- 土は三相からなる多孔質体
- 土は変化のルツボ―土も変化する
- 二 土の進化史の素描―誕生期から老年期まで
- ブナ林の土を観る
- どのようにして土の進化を推定するのか
- 土の誕生から成熟まで
- 三 壮年期までの土をめぐる物質循環
- 陰の主役―窒素固定生物
- 土中生物のはたらき
- 四 土も年をとる
- 生成を進め、老衰を助長する降水
- 白い土、赤い土は老いた土
- 五 土の進化を通して自然を見る
- 一 土とは?
- III 土の「肥沃性」の鍵
- 一 植生の多様性が土を豊かにする
- 多様性と系の安定性
- 遷移、生産力と多様性
- 農業と多様性
- 二 土の進化とバラツキの強まり
- 土の進化は団粒化の歴史
- 土の進化・肥沃化とバラツキ
- 三 農地でのバラツキと土の肥沃性
- 耕起栽培と不耕起栽培
- 農地におけるバラツキと肥沃性
- 四 夢の実現を
- 一 植生の多様性が土を豊かにする
- IV 「健康な土」と現代農業
- 一 「健康な土」「生きている土」とはどんな土?
- ホメオスタシスを示す土
- 土の持つ各種の緩衝作用
- 死んだ土とは?
- 二 土の危機をもたらすもの
- 炭素循環の破綻
- 土中養分のアンバランス
- 農薬による生物多様性の低下
- 三 環境とのかかわりを考える
- 一 「健康な土」「生きている土」とはどんな土?
- 終 土はみんなの宝物
- 一 みんなで「病んだ土」の再生を
- 恵まれた日本の環境条件
- 「健康な土」が「持続可能な農業」を支える
- 再生への道を模索する
- 二 土をみんなで大切に
- 一 みんなで「病んだ土」の再生を
- [主要な参考文献]
著者情報
岩田進午

「健康な土」「病んだ土」
定価1,870円
(本体1,700円)
2004年6月