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「動く」とは? 熱とは? 考える楽しさが見えてくる

身近で生きた物理学

滝沢俊治=著

定価2,090円(本体1,900円)

出版年月
2004年6月
ISBNコード
978-4-406-03091-5
仕様
0042/ A5判並製/ 219P
タグ
自然    自然科学一般   
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教科書には結論だけが載っているニュートン力学や熱力学の法則たち。暗記することで済ませがちなそれらも、法則発見に先立つ先人たちの思索や試行錯誤を知ることで、面白く、深く理解できる。物理教育実践として注目された「群大方式」を担った著者が、物理学の考え方と社会とのかかわりを存分に語る。

目次や構成

[目次]

  • はじめに
  • I  力と運動
    • 1  動くってどういうことだろう?
      • 「止まっていない」こと?
      • 運動についてのニュートンの説明―時間と空間
      • いろいろな物の速さ
      • 速さの単位、数値の指数表現
      • 速度とは―運動の速さと方向
      • 加速度
      • なぜ動くのか(1)
      • 力のベクトル
      • なぜ動くのか(2)
    • 2  質量、力って何だろう
      • ニュートン
      • ケプラーの法則
      • 万有引力の法則―月は落ちている!
      • ニュートンの3法則
      • 質量って何だろう
      • スペースシャトル内での物体の質量測定
      • 質量の単位
      • MKS単位系
      • 万有引力による惑星の運動
      • 力とは何だったか
      • ニュートン力学―時代が要請した新しい統一的世界観
      • 地球の重さ(質量)を測る
      • 万有引力の比較
    • 3  ニュートン力学のその後
      • フランスでの新たな発展
      • 未知の惑星―海王星の発見
      • ニュートン力学の決定論的性格とそれからの脱却
      • カオスについて
      • ニュートン力学の保存則
      • 振り子の運動
  • II  温度と熱
    • 1  熱の研究の出発点に立つ
      • 温度とは
      • 温度計の発明
      • 温度計の改良
      • 温度計の目盛り
      • 気体温度計と絶対零度
      • 熱とは何か―温度と熱の区別
      • 熱の定義、熱容量と比熱
    • 2  産業革命の中の研究者たち
      • ブラックによる熱学の基礎の確立
      • ジェームス・ワットの蒸気機関の改良
      • 熱の本性をめぐる議論―熱素説とラムフォードの実験
      • 回り灯籠
      • サディ・カルノー
      • サディ・カルノーの問題意識
      • 理想的な熱機関の効率(1)―可逆熱機関
      • 理想的な熱機関の効率(2)―カルノーサイクル
      • サディ・カルノーの「覚書」
      • 埋もれていたカルノーの『考察』とその発掘
      • ジュールの研究の出発点
      • ジュール熱の法則
      • 熱素説への挑戦
      • トムソンの受けた衝撃
      • 熱とは何か―これまでのまとめ
  • III  エネルギーとエントロピー
    • 1  エネルギー保存則を考える
      • 医師マイヤーの発見
      • 熱の仕事当量(気体の比熱からの推定値)
      • マイヤーの論文の歴史的評価
      • ヘルムホルツによる「エネルギー保存の法則」
      • 振り子の運動と力学的エネルギーの散逸
      • 米粒を入れたフィルムケースの運動
      • エネルギー保存則の数式的表現
      • エネルギー保存の法則あれこれ
      • 大詰め―クラウジウスの登場
    • 2  熱機関と新しい状態量の発見
      • カルノーの熱機関の正しい解釈とその効率
      • トムソンの提唱した絶対温度
      • クラウジウスの視点
      • 新しい状態量の発見―エントロピーの概念
      • 水の相変化のさいのエントロピー変化
      • 非可逆過程とエントロピー生成
      • 非可逆過程におけるエントロピー生成
      • エントロピー増大則の分子統計的解釈
      • 現象論と分子論
      • エントロピー増大の法則と環境問題
      • 尽きない自然の探求
  • IV  科学と社会
    • 1  物理学と国家、戦争
      • 熱力学による統一的な自然観
      • 19世紀末から20世紀初頭における物理学の発展
      • 幕末と明治初期の日本の物理学
      • 長岡半太郎の学生時代
      • 19世紀後半の社会における科学の位置づけ
      • 国家と科学(1)
      • 国家と科学(2)
    • 2  ヒロシマ、ナガサキへの道行きの中で
      • ピエール・キュリーの危惧したこと
      • ラザフォードの原子核実験
      • 急展開する1930年代以降の核物理学
      • ウラニウムの核分裂の発見と連鎖反応の可能性
      • ナチス・ドイツ占領下でのジョリオ・キュリーの活動
      • ランジュバンの逮捕と抗議のたたかい
      • 原子爆弾製造の始まり
      • マンハッタン計画(原子爆弾製造計画)
      • 日本の都市への原子爆弾投下に対する科学者の反対意見
      • ヒロシマ、ナガサキの悲劇
      • オッペンハイマーと水爆実験計画
    • 3  科学者とヒューマニズム
      • アメリカの原爆外交
      • 第2次世界大戦後の科学者の平和運動
      • ビキニ水爆実験と灰の死
      • ラッセル・アインシュタイン宣言
      • 国連軍縮特別総会と「核の冬」の予測
      • 核兵器廃絶の草の根運動
      • 科学を市民の手に
  • V  「生きた科学」を学ぶ
    • 1  「科学教育論」に学んで
      • 干からびた科学の体系
      • ランジュバンの言葉(1)―教条的教育批判
      • ランジュバンの言葉(2)―科学史の教育的価値
      • ランジュバンの言葉(3)―起源にさかのぼる意義
      • 学生が自ら考える授業
      • 教育基本法と大学の一般教育
      • 「群馬大学方式」の学生物理実験
      • 学習指導要領にみる文部省の物理教育観
      • 石原純の科学教育観
    • 2  「理科離れ」と学生たち
      • 50年前にはこんなすばらしい学習指導要領があった!
      • 1950年代後半に始まる学習指導要領の変質
      • 科学史の常識の欠落
      • 学生の感想から
      • 「理科離れ」を生む土壌
      • 学生の知性は健全
      • 脈々と続く1947年の理科教育の精神
      • 子どもに「生きた科学」を

著者情報

滝沢俊治

身近で生きた物理学

身近で生きた物理学

定価2,090円
(本体1,900円)

2004年6月