
なんとしても原爆が落ちた瞬間を映画に撮りたい!
新藤兼人・原爆を撮る
新藤兼人=著
「この子を残して先には死ねません」と言い残して胎内被爆した原爆小頭児の母親は死んだ−−。日本の巨匠監督が、「原爆の子」「第五福竜丸」が完成するまでの苦闘のドラマと新作への気迫あふれる意欲を縦横に語る書き下ろし。著者の被爆者への想いと核戦争への怒り全編に。新作「ヒロシマ」の未発表シナリオ全文収録!
目次や構成
[目次]
- [1] 原爆の子
"白いシャツを着よ!!"/姉が広島で見た光景/「いま撮らねば―」/主役に乙羽信子/乙女たちのケロイド顔/盲目の物乞い―岩さん/焼けのこった教会/銀のかんざし/「ピカがなけりゃ、こがいなことには・・・・・・」/いつまでも手をふる太郎/成功した最初の自主製作
- [2] 第五福竜丸
監督になる決心/郵便車襲撃事件「狼」の映画化/「やりたいことをやりたいから・・・・・・」/劇的なシナリオ出来る/船で焼津の沖へ/欠陥カメラに泣かされて/ポンプで水を汲みだしながら/おだやかな海原/西から太陽が・・・・・・/キノコ雲、さんさんと降りそそぐ灰/久保山愛吉の死/福竜丸の甲板で上映会
- [3] 8・6
在米日系人被爆者への問診/エノラ・ゲイ号の機長に会いに―/沈黙の十五分間/作られた"対話"TV番組/看護婦の姉のこと/森下先生の証言/原爆病院長の証言/大学教授と朝鮮人被爆者の証言/若い女性の原爆死、そして戦後/"原爆第一号"
- [4] さくら隊散る
丸山定夫之碑/広島のさくら隊原爆殉難碑/移動演劇隊/苦楽座とさくら隊/八月六日前後/テニアン島から広島まで/その朝の九人/丸山定夫の場合/園井恵子 高山象三 仲みどり/丸山定夫の死/園井恵子と高山象三の死/仲みどりはどうしたか/さくら隊九人の人たち/撮影隊の仕事
創作ノート
- [5] 原爆小頭児
即死した背中の子/体内被爆/コトバの出ない百合子さん/「百合子を残して先には死ねません」
- [6] ヒロシマ―未発表シナリオのこと
原爆が落ちた瞬間/映画「ヒロシマ」―被爆者の無念伝えたい
- シナリオ ヒロシマ
- 「あとがき」にかえて―短編小説「蟻」
著者情報
新藤兼人
1912年広島県生まれ。溝口健二監督に師事。1950年近代映画協会創立。1951年「愛妻物語」で監督になる。「裸の島」「鬼婆」「午後の遺言状」「ふくろう」など作品多数。著書『シナリオ人生』など多数。日本を代表する巨匠監督。

新藤兼人・原爆を撮る
定価1,980円
(本体1,800円)
2005年3月