
人はいつもコミュニケーション不全とたたかってきた!
言葉、通じてない? コミュニケーションの歴史としくみ
石井正人=著
「どうしてわかってくれないの?」――日常しばしば口をつくこの言葉。職場で、家庭で、ネット上で、多くの現代人が悩むコミュニケーション不全について、そのしくみと言葉の歴史から考えます。言葉を客観的にとらえることで、その背後にある社会の問題も見えてきます。自分の言葉を見つめ、自信を持つのに役立つ本。
目次や構成
[目次]
- 第1章 「どうして分かってくれないのよ!」
- ・インターネットで検索してみる
- ・言葉という道具と社会のルール
- ・目に見えないたたかいが動力に
- 第2章 何事も古き世のみぞしたわしき―歴史的な言葉の変化のありさま
- ・『徒然草』から獅子文六まで
- ・長いスケールでの変化と「誤用」
- ・「言語共同体」と言語変化への参加
- 第3章 「寒いね」と言われても―言語コミュニケーションのしくみ
- ・言語コミュニケーションの五つの要素
- ・より根元的な規範機能について
- ・五種類の伝達機能とそれぞれの不全
- 第4章 断固たる曖昧さ―「流動性」が支えるコミュニケーション
- ・なぜ言語に流動性があるのか
- ・経済性、革新性、多様性、進化性
- 第5章 「舞台」の上の私たち―発話場面をつくる文法の話
- ・発話場面の人間関係と敬語
- ・インド・ヨーロッパ諸語の文法構造
- 第6章 不規則形なんて、なんであるの?―言語コミュニケーションの歴史変化
- ・標準語という「正義と美」の世界
- ・言語共同体の解体・再編の産物
- 第7章 コミュニケーション不全に挑戦し続けること
- ・どんな人間にもある能力と権利
- ・武器としての標準語、文学と科学
- 第8章 「木とはなんですか」―科学とコミュニケーション
- ・抽象的な言葉と具体的世界
- ・コミュニケーションにとっての科学
- おわりに
著者情報
石井正人
1957年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科独語独文学専門課程修士課程修了。現在千葉大学文学部教授。中世ドイツ文学、中世ドイツ語史。著書に『中世牧歌の楽園とアジール――ラテン的要素とゲルマン的要素の対立と融合過程』(渓水社、1993)、訳書にギュンター・グラス『はてしなき荒野』(大月書店、1999)など。

言葉、通じてない? コミュニケーションの歴史としくみ
定価1,760円
(本体1,600円)
2005年4月