
生命は地下で発生し海に出た――依然、謎とされる「生命の起源」にまったく新しい観点から挑む探求。完全な無機世界からの有機分子の出現、生命の発生は、いつ、どのように起きたのか。解く鍵は、46億年のダイナミックな地球の歴史にあった。「太古の海は生命の母」という常識がくつがえる豊かな世界が見えてくる。
目次や構成
【目次】
- はじめに
- 第1章 二〇世紀末、地球観の大変化
- 第1節 無視された大陸移動説
- 第2節 大陸移動説の復活
- 第3節 流動する地球
- 第4節 さらにダイナミックな全地球流動
- 第2章 "究極の祖先"とは?
- 第1節 "生命"の化石
- 第2節 ゲノムの描く"究極の祖先"
- 第3節 "究極の祖先"に至る有機分子の進化
- 第4節 "根"にある生物進化系統樹
- 第3章 そもそも生物はなぜ進化するのか?
- 第1節 進化と熱力学第二法則
- 第2節 "地球史規模で見た"分子も生物も進化した理由
- 第4章 無機界と有機界をつなぐ粘土鉱物
- 第1節 粘土鉱物の親水性・膨潤性・揺変性
- 第2節 粘土鉱物の柔軟性
- 第3節 粘土鉱物の構造
- 第4節 粘土鉱物の有機分子親和性・吸着・触媒
- 第5章 有機分子の出現と自然選択―微惑星・隕石の"海洋"衝突
- 第1節 四〇億年〜三八億年前頃の地球
- 第2節 海洋に衝突した微惑星・隕石は気化した!
- 第3節 原始大気とミラーの実験―有機分子生成の従来説
- 第4節 微惑星・隕石の海洋衝突によるアンモニアの生成
- 第5節 有機分子のビック・バンと自然選択
- 第6章 有機分子の高分子化―海洋堆積物の圧密
- 第1節 「太古の海は生命の母」か?
- 第2節 原始の海洋堆積物のたどった道
- 第3節 海洋堆積物中でも有機分子の濃集と脱水重合
- 第4節 実証、アミノ酸の高温・高圧脱水重合
- 第7章 高分子の組織化・生命の発生―大陸の発達と熱水活動
- 第1節 生命は地下で発生して、海洋に適応放散した!
- 第2節 遺伝および代謝の鉱物起源説
- 第3節 無機鉱物の自己組織化
- 第4節 「分子と生物の統一進化系統樹」
- あとがき
著者情報
中沢弘基
物質材料研究機構フェロー。1940年長野県生まれ。無機材質研究所総合研究官、同特別研究官、東北大学大学院理学研究科教授などを経て現職。元日本粘土学会会長

生命の起源・地球が書いたシナリオ
定価2,090円
(本体1,900円)
2006年4月