
改憲ムードを後押しする全国紙、平和主義守れと論陣張る地方紙−−浮かびあがる新聞メディアの構図。侵略戦争へ国民を鼓舞した痛恨の歴史をもつ新聞の報道姿勢が再び問われている。ジャーナリズムとは?「憲法で考える」とは? 権力への批判精神と言論・表現の自由の原点から、危機に立つ新聞メディアに警鐘乱打する。
目次や構成
〔目次〕
- プロローグ
 - 第1章  書かれない「世界」の変化
  
- インドのムンバイで考えたこと
 - 12万人が参加した大集会
 - 大集会に関心が薄かった日本のメディア
 - 頑張っている記者もいるけれど・・・・・・
 - 書かれない「半権力」の運動
 
 - 第2章  問われる新聞の憲法感覚
  
- 憲法で考える
 - 新聞は「共謀財」新設に賛成なのか
 - 朝日の「民主党案=土台」論の危うさ
 - 「気の毒」で深刻な現場の状況が伝わるのか
 - 揶揄された共闘
 - 「反日デモ」と日中関係への報道姿勢
 - 新聞は戦争を支持するのか
 
 - 第3章  突出する読売改憲論と朝日・毎日、地方紙
  
- 「読売改憲試案」と提言報道
 - 朝日・毎日の「主張なき護憲論」
 - 新聞は「自民党新憲法草案」をどう論じたか
 - 「改憲批判・慎重派」が多い地方紙
 - 「改憲派」地方紙は二紙だけ
 
 - 第4章  社説を考える
  
- 「日本国憲法=欽定憲法」論と「新憲法」論
 - 論説の主体性を考える
 - 「自民党新憲法草案」を「共同論説」で論評すること
 - 社説の影響力
 
 - 第5章  自分の言葉で発信する地方紙
  
- 地方紙の憲法調査会報告への視点
 - 逆立ちする「立憲主義」
 - 「海外の目」をどう考えるのか
 - 光る地方紙の国際的視野
 - 改憲の拙速を戒める地方紙
 - 地方紙、「平和主義を捨てるな」と論陣
 - 「九条の会」の広がりと地方紙の報道
 - 地方紙の論説に見る「反戦と非戦」
 - 憲法記念日の紙面をどう企画するか
 - 2006年の憲法記念日の地方紙の論調
 
 - 第6章  マスコミが作る「改憲ムード」と歴史の教訓
  
- 問われるジャーナリズムとしての主体性
 - 「米軍再編」を全国紙、地方紙はどう報じたか
 - 民主党の改憲姿勢を後押しする読売
 - 岩国住民投票報道で検討した地方紙
 - 改憲を後押しする「世論調査」の役割
 - 忍び寄る「論理不在」の「改憲ムード」
 
 - 第7章  新聞が誓った戦後の原点とは何か
  
- 戦争責任と新聞
 - ジャーナリズムが「憲法で考える」とは?
 - 問われる日本の「下克上立法」
 
 - 第8章  なぜ、いま「憲法改正」か
  
- できないのは「戦争」だけ
 - 自衛隊が違憲なら、合憲になるまで「戦力」を減らせ!
 - 「攻めてきたらどうする?」論
 - 「北朝鮮脅威論」に抜けている視点
 - 「国民保護法総合演習を嗤う」
 - 「新しい権利論」を入口とする改憲論
 - 米国発の「憲法改正」論
 - 「押し付け憲法」論と九条=幣原喜重郎発案説
 - 「言論」は「戦争」を否定する
 
 - 第9条  「憲法改正」なんてできっこない<私の憲法論>
  
- 私の戦争の記憶
 - 必要な「日本をどうしていくか」の視点
 - 情報の交差点にある改憲問題
 - 「壊れていない車は修理するな」
 - 言葉の力と新聞への期待
 
 - (資料)
 - 憲法記念日の各新聞の社説・論説見出し一覧
 - 【2005年(戦後60年)5月3日付/2006年5月3日付】
 - あとがき
 
それ以上に問題なのは、新聞の中身である。新聞はいま、伝えなければいけないことを伝え、 主張しなければならないことを主張しているのかどうか。 読者の立場、働く庶民の立場で、そのために奉仕するものとして編集され、 国民の「知る権利」をになう「水先案内人」として、役に立っているのかどうか。
そう考えたときに、「憲法」という言葉が浮かんだ。新聞は、 こうもあっさりと「憲法」を捨てていいのか。
(プロローグより)
著者情報
丸山重威
1941年生まれ。早稲田大学法学部卒業後、共同通信社記者をへて、現在、関東学院大学教授。ジャーナリズム論専攻。日本ジャーナリスト会議会員。『現代のジャーナリズム−−キーワードで読み解く』(共著)。
新聞は憲法を捨てていいのか
定価2,090円
(本体1,900円)
2006年7月











