
大きな反響を呼んだ青年劇場の『銃口』(三浦綾子原作)韓国公演。観客が舞台と重ねた韓国の現実、共感しあえた人間の良心と苦悩とは何か。三浦光世氏の書き下ろし同行記を始め、教育、文化、人権・民主主義の韓国各分野の第一人者たちが『銃口』を鏡にして語る日韓の共有する課題と未来、新たな連帯の視点。
目次や構成
〔目次〕
- まえがき
- 1 『銃口』とともに韓国へ
三浦光世 - 2 もうひとつの『銃口』創作秘話
三浦光世、ファン・チャヘ- 「タコ」を逃がしてあげた祖父
- 「たとい朝鮮人でも同じ人間だ」
- 兄の体験、熊谷主任の思い出
- 綾子には朝鮮・韓国の人びとへの敬意が
- 金俊昭のモデルの家族との出会い
- 日本の非道を悲しみ、人を愛した綾子
- 「主権在民」の姿勢を固く保って
- 3 『銃口』の中に見る韓国の現実
ホン・セファ、キム・ギュハン- 韓日"共通の運命"とは
- 国家主義が個人を抑圧する
- 韓国の良心、苦悩を再現
- 両国民衆の連帯の可能性を見る
- 4 「良心囚」は何を感じたのか
ファン・デグオン、ナム・ギュソン- 良心囚の経験とそっくり
- 韓国で"復活"した治安維持法
- 竜太と共通する時代的な良心
- 韓国社会の未来と平和へのメッセージ
- 5 過去を通して今の生き方に迫る
キム・ドンウォン、クオン・ヘヒョ- 観客の熱い反応、強い共感帯
- 「お前は今どうだ?」と問われて
- 自分が立っている位置の確認を
- 世界に「銃口」はなくなっていない
- 6 『銃口』が変えた"日本観"
チェ・ヒョンサム、ヤン・ジョンヒョン、キム・ジョンミン、イ・アラ- 竜太に見る教師と人間の葛藤
- 反日感情、敵対心を超えて
- 戦争と平和について何を語るか
- 歴史をまっすぐ見ることの重要性
- 悩みと痛みが共通していた
- 7 共感し合えた人間の良心と苦悩
青年劇場座談会・・・大屋寿朗、重野恵、島田静仁、広戸聡、船津基、堀口始- なぜ韓国で『銃口』公演なのか
- 国境を越えて感じる人間の辛さ、痛み
- 拷問シーンでは客席から悲鳴が
- 人間の良心のたたかいに嘘はありえない
- 弾圧の歴史につながる地に立って
- 新しい作品で韓国像を伝えたい
- 資料 ― 舞台『銃口』を見ていない読者の方へ
- 観劇の手引き(あらすじ)
- あとがき
著者情報
三浦光世
1924年東京に生まれる。三歳で家族とともに北海道に移住。1959年堀田綾子と結婚。1966年営林署を退職後、妻・綾子の執筆活動を支える。著書『三浦綾子創作秘話』ほか。

「銃口」が架けた日韓の橋
定価1,760円
(本体1,600円)
2006年10月
黄慈惠(ファン・チャヘ)

「銃口」が架けた日韓の橋
定価1,760円
(本体1,600円)
2006年10月