
蔓延する不払い残業・違法残業、雇い止めなどの形の解雇の横行…。「労働法のない世界」が広がる日本の現実に引きつけ、なぜ働くルールが必要なのか、それはどんな法体系かを解き明かす。豊富な事例、国際的な流れをふまえた説得力ある理論。生活と命を守るためにも、不安定化する社会を立て直すためにも、必読の一冊。
目次や構成
〔目次〕
- 第1章 命と暮らしを脅かす働き方の拡大
「労働法のない世界」の広がり- 労働相談からみた雇用社会の変化
- 非正規雇用の深刻な状況
- 若者の未来を奪う働かせ方
- 労働組合の後退
- 第2章 働くルールが必要な労働者
- 人口の大多数を占める労働者
- 労働法の主体となる労働者とは?
- 偽装雇用の広がりと「働くルール」の適用
- 第3章 働くルールの形成と発展
- 「自由・平等」の名目での「不自由と不平等」
- 「働くルール」の発展と労働法の体系化
- 労働者保護法
- 労働団体法
- 雇用保障法・社会保障法
- 第4章 世界の働くルール
EU諸国、ILO、韓国- 労働法が生き生きしている国
- 人間らしい働き方を支える代表的労働組合
- 産業別労働組合の転換
- 厳しい非正規雇用への規制
- 第5章 日本の制度と大企業の思惑
世界とは異質な日本的労働慣行・労働法- 戦後の民主的労働法
- 企業別分断と「内部労働市場」論
- 1980年代前半から95年まで
- 1995年以降
- 「労働ビッグバン」と矛盾の顕在化
- 第6章 働くルールの確立のために(その1)
権利闘争の課題- 権利の自覚と点検闘争
- 働くルールと労働者の基本的権利
- 職場・企業の視点から地域的・国際的な視点へ
- 権利の普及と労働法教育
- 第7章 働くルールの確立のために(その2)
非正規雇用をめぐるたたかい- 家計補助からフルタイムへの非正規の広がり
- 有期雇用
- 偽装雇用とILO
- 間接雇用
- 非正規雇用をめぐるたたかいの課題
著者情報
脇田滋
大阪市出身、龍谷大学法学部教授。労働法、社会保障法。京都大学大学院法学研究科博士課程満期退学博士(法学)。著書に『労働法の規制緩和と公正雇用保障』(法律文化社)、『しない・させないサービス残業』『派遣・契約社員 働き方のルール』『規制緩和と労働者・労働法制』(ともに旬報社)など。

労働法を考える この国で人間を取り戻すために
定価1,760円
(本体1,600円)
2007年10月