
戦争・引揚げ体験をのりこえ、凛として華やかに輝く
南風洋子 涙を真珠にかえて・・・
南風洋子=著
宝塚から新東宝、宇野重吉氏のすすめで民藝へと、華麗にそして直向きに芝居の道を歩む。しかし、その姿からは想像できない苦しみがあった。15歳という多感な少女を無残に傷つけた戦争。人間を信じられずに、孤独に閉ざしていた心を温めたのは芝居だった。最期まで女優でありつづけた南風洋子さんのラスト・メッセージ。
目次や構成
〔目次〕
- I 出発(たびだち)
- 生きる知恵を語りついで
- 人を信じる、人を愛する
- II 戦争の傷あと
- 十五歳の終戦・引揚げ日記
- ひとつの記録
- 美しさも醜さも、丸ごとが人間
- III 役者を生きる
- 声のダメ出し―宇野重吉師のこと―
- “お前、本当に芝居が好きか!”
- 「泰山木の木の下で」との出逢い
- 初演の稽古ノートから
- わたしの古典
- 歳月
- ゴッホの絵のタッチのように
- “キミは倖せだよ”
- 珠玉のような人の情
- 引揚げ体験と「二人の長い影」
- 「人間嫌い」の「人間好き」
- IV 縁(ゆかり)
近(ちか)すぎる思い出 山田太一 さん 可愛い親には旅をさせろ やくみつる さん 母のこと 若杉民 さん わかれの言葉 米倉斉加年 さん ありがとう―悼辞 樫山文枝 さん 戦後新劇の申し子 矢野誠一 さん 亡き友を倬む 土井睦子 さん 南風洋子さんと思い出 小酒井美智子 さん 南風洋子さんの最後の舞台 野末悦子 さん
著者情報
南風洋子
神戸市生まれ。女優。1949年に宝塚歌劇団入団。53年に宝塚歌劇団を退団し、新東宝映画入社・デビュー。59年に宇野重吉さんのすすめで劇団民藝入団。宇野重吉初演出「運命」が初舞台。「泰山木の木の下で」「奇蹟の人」「炎の人―ゴッホ小伝―」など民藝の多くの代表作に出演する。その他、商業演劇、ミュージカル、テレビドラマ、映画など多数出演。2007年6・7月の山田太一作「林の中のナポリ」の主演が最後の舞台となる。8月19日没。1986年に地人会「噂の二人」のマーサ役で紀伊國屋演劇賞個人賞、96年に東宝「新版 香華」の太郎丸役で第21回菊田一夫演劇賞、99年に日本映画批評家大賞ゴールデングローリー賞を受賞する。

南風洋子 涙を真珠にかえて・・・
定価1,870円
(本体1,700円)
2007年11月