
「科学者は仕事をした。今度は政治家の番だ」といわれる地球温暖化問題。そのテーマに緊迫感を持ってとりくむヨーロッパの政治的経験を学ぶために日本共産党が行った調査をまとめました。行く先々で歓迎され、多くの面で意見が一致した様子を生き生き伝える訪問記から、今、日本の政治がなすべきことが見えてきます。
目次や構成
〔目次〕
- はじめに
- プロローグ
- 降り立ったベルリンの夜の街はライトダウン
- 「科学者は仕事をした、今度は政治指導者の番だ」
- 「訪問のタイミングは完璧」――多くの協力を得て
- 日本と欧州の違いのどこを見極めてくるか?
- 第1章 ベルリン――政府の緊迫感が違った
- 自然採光のドイツ環境相を訪ね本格調査を開始
- 「スターン・レビュー」の科学的知見は共通財産
- 「必ずやりきらねばならない」立場と中長期目標
- エコ税制――温室効果ガス放出のコスト負担
- 国民世論に支えられた確固たる「脱原発」政策
- 社会のあり方の「根本的変革が必要になってきます」
- 反対していたドイツ財界も公的協定で目標履行へ
- ドイツ財界に比べ日本経団連は10年遅れ
- 第2章 バイエルン州とフライブルグ――住民生活と結んだとりくみ
- 水質バイオの地域暖房・発電が盛んなザウアーラッハ
- 「衰退してきた農林業に希望」とバイエルン州
- 雇用も生み出す再生可能エネルギー、日本では……
- 「環境首都」ライフブルグの「気候保全戦略」
- 路面電車の復活・拡大、公共交通・自転車を重視
- 「カーフリー」で子どもたちが安心して遊べる街に
- 第3章 ロンドン――資本主義発祥の国で
- 世界初の気候変動法づくりめざす議会の意気込み
- 6000の企業の99パーセントが削減目標を達成
- 「公的協定など温暖化防止の国内対策は実行可能」
- 財界・産業界が率先して削減目標に取り組む
- 「経済は持続可能な方法で成長できる」と役割発揮
- 「これこそ社会が産業界に求めていることです」
- 公共交通・自転車活用のロンドン市のとりくみ
- 第4章 欧州連合(EU)・欧州委員会――並々ならぬ関心と熱意
- 事前に19ページもの書面回答が届く
- 「重要な経済便益を短期・長期にもたらすだろう」
- この問題で行動する必要があるという社会的合意
- 「真の削減」へ削減目標と一体の排出量取引の活用を試みる
- 「日本はEUとともに手本を示さなければならない」
- 第5章 調査を終え、わかったことをまとめる
- 野心的目標を掲げとりくむ欧州と日本との3つの違い
- 地球の気候変動の重大性をどう見ているか、緊迫感・切迫感の問題
- 政府がきちんとルールをつくり、目標達成の具体的手立てがとられているか
- 「持続可能な発展戦略」のもとに温暖化対策を通じて社会のあり方を問い、再生可能エネルギーを活用しているかどうか
- 国際社会に向けた日本政府の期待と注文、いらだちを受け止めて
- 地球温暖化対策に向けた日本での政策にどう生かしていくか
- 野心的目標を掲げとりくむ欧州と日本との3つの違い
- エピローグ
- サミットで役割も責任も発揮できなかった日本政府
- 日本共産党が発表した見解と3つの転換の必要性
- 巻末資料
著者情報
笠井亮
1952年生まれ。東京大経済学部卒。被爆2世。95〜01年に参議院議員。05年9月の総選挙で衆議院当選。衆議院外務委員、憲法調査特別委員、拉致問題等特別委員。党中央委員、国際局次長。非核の政府を求める会常任世話人。

政治は温暖化に何をすべきか 日本共産党、ヨーロッパを訪ねて
定価1,650円
(本体1,500円)
2008年9月