
現在の経済危機に関する多くの解説書と比べても抜群の包括的・緻密な分析! 金融危機はその後どうなっているか、実体経済への影響は国ごとにどう現れているか、国際金融の監督・規制にはどのような可能性があるのか――金融と経済の今後をどうデザインするかをめぐる教訓と示唆に富んだ労作を満を持して刊行します。
目次や構成
〔目次〕
- はじめに――グローバル経済危機が問いかけるもの
- 序章 3つの問題――米一極支配から多極化へ、米国型資本主義の存在態様、オバマ政権経済チーム
- 米一極支配から多極化へ――G20金融サミット
- アメリカ型資本主義の存在態様――投資銀行と帝国循環
- 結節点ロバート・ルービンとオバマ政権経済チーム
- 第1部 カジノ資本主義の暴走
- 第1章 サブプライムローン危機と金融工学・証券化
- 略奪的サブプライムローンと延滞率の上昇
- 住宅ローン債権の証券化の歴史
- 投資銀行による証券化商品の組成・転売モデル
- サブプライムローンと金融工学
- 証券化商品とシャドーバンキング・システム
- 第2章 世界金融危機への展開
- 欧米における金融機関の破綻
- リーマン破綻とAIG救済
- デレバレッジと株価・為替相場の大変動
- 欧州の信用バブルの崩壊と対応
- 中東欧およびアジア諸国の金融危機
- 第3章 原油・穀物価格の騰落と投機マネー
- 原油・穀物の先物市場における騰落と投機資本の流出入
- 世界エネルギー・食糧危機とその影響
- 米国連邦議会公聴会における原因調査
- 商品先物市場への投機資金流入の原因
- 商品先物市場の規制の方向
- 第2部 世界同時不況とその克服
- 第4章 世界同時不況の諸相
- 世界同時不況
- 信用膨張型の震源地米国と欧州
- 輸出依存型経済
- 資源立国型
- 内需依存型の諸国
- 第5章 欧米を中心とした金融安定化政策
- 流動性・資金調達面での対応
- 不良資産処理および資金増強面での対応
- 欧米における金融規制改革
- 危機における新興国の金融面での対策
- 第6章 世界同時不況下の危機打開策
- IMFの先進国に対する財政出動論
- 主要先進国の景気刺激策
- 米「グリーン・ニューディール」政策
- 新興国の景気刺激・成長維持政策
- 第3部 アメリカ金融覇権の行方
- 第7章 国際金融監督規制のあり方
- 1990年代の国際金融危機とIMFとBISを中心とした改革
- ヘッジファンド、投資銀行の規制
- タックス・ヘイブン(租税回避地)の規制とトービン税の導入
- 巨額報酬規制と「大きすぎて潰せない」
- 第8章 IMFの機能強化とガバナンス改革
- ブレトンウッズ協定によるIMFの設立
- IMFの「開店休業」から融資急増へ
- IMFの機能強化
- コンディショナリティの簡素化
- IMFのガバナンス改革
- 第9章 基軸通貨ドル体制の行方
- ドルの急騰と下落
- 基軸通貨ドルの地位はどう変わったか
- 政府系ファンド・産油国マネーの動き
- 「帝国循環」は終わったのか
- 終章 日本経済との関わりと対応
- グローバル経済危機と日本
- 外需から内需型への転換
- アジア諸国との共生
- 図表一覧
- 参考文献
- あとがき
著者情報
毛利良一
日本福祉大学教授、国際金融論、開発経済論を専攻。1945年、兵庫県生まれ。大阪外国語大学卒、大阪市立大学大学院経営学研究科博士(後期)課程単位取得中退、日本学術振興会奨励研究員。日本福祉大学に1977年に赴任、88年より現職。著書に、『グローバリゼーションとIMF・世界銀行』(大月書店)、『国際債務危機の経済学』(東洋経済新報社)など

アメリカ金融覇権 終りの始まり グローバル経済危機の検証
定価2,750円
(本体2,500円)
2010年4月