
グローバリゼーションに関する基礎理論というべきものはあるのか、それはどのようなものか――全商業世界を一国とみなし資本主義の原理を解明した『資本論』をふまえ、複数の国民経済からなる世界市場へと研究を進める。世界市場とは何か、帝国主義の位置、世界市場での貨幣の動き、そこに起きる恐慌などを探った労作。
目次や構成
- 序論
- 第1章 マルクス経済学と現代のグローバリゼーション
- 第1節 マルクスの著述プランとその意義
- 第2節 後半体系、または世界市場を「生活環境」とする資本主義的生産
- 第3節 マルクス後半体系と現代のグローバリゼーション
- 第2章 マルクス後半体系と帝国主義
- 第1節 マルクス後半体系について
- 第2節 マルクス後半体系と本源的蓄積
- 第3節 原蓄論からみた世界市場小史
- 第4節 植民地体制の崩壊と後半体系の世界の出現=グローバリゼーション
- 第5節 帝国主義とグローバリゼーション
- 第3章 変動相場制は金を「廃貨」したのか?―マルクス経済学と変動相場制
- 第1節 変動相場制の意義
- 第2節 金の市場価格変動の原理的規定
- 第3節 世界市場において新たに付け加わる論点
- 第4節 事実上の為替平価=適正為替レート
- 第5節 小括
- 第4章 金融グローバリゼーションと「国際通貨」制度―世界市場における貨幣資本の蓄積と貨幣流通
- 第1節 前提的事項
- 第2節 後半体系レベルの利子生み資本と信用制度
- 第3節 後半体系レベルの現実資本と貨幣資本
- 第4節 「国際通貨」制度論への覚え書
- 第5章 グローバリゼーション下の世界同時不況―マルクスの「世界市場と恐慌」によせて
- 第1節 マルクス恐慌論の骨子
- 第2節 マルクスの世界市場恐慌論、試論
- 第3節 マルクス「世界市場と恐慌」と現下の諸問題
- 初出一覧
- あとがき
著者情報
村岡俊三
1931年生まれ。東北大学教授、関東学院大教授を歴任。東北大学名誉教授。国際経済論。主な著作に『資本輸出入と国際金融』(白桃書房)、『構造変化と世界経済』(共著、藤原書店)、『世界経済論』(有斐閣)、『マルクス経済学と世界経済』(共著、有斐閣)

グローバリゼーションをマルクスの目で読み解く
定価2,750円
(本体2,500円)
2010年9月