
苛烈な領土拡張戦争が繰り返される19世紀後半のオーストリア帝国。伯爵令嬢マルタは4度の戦争で2人の夫、愛する家族を次々と失う。戦争の惨禍をまっすぐ見つめ、やがて戦争を廃絶するために立ち上がってゆくマルタの姿を描いた小説。文豪トルストイやノーベルも称讃したこの作品の「武器を捨てよ!」という訴えが、核兵器廃絶をめさず21世紀の私たちにも力強く響く!
目次や構成
- [上巻目次]
- 第1章 1859年―イタリア独立戦争
- 第2章 平和な時代
- 第3章 1864年―シュレースヴィヒ=ホルシュタイン戦争
- ……………………………………………………………
- [下巻目次]
- 第4章 1866年―普墺戦争
- 第5章 平和な時代
- 第6章 1870年~71年―普仏戦争
- エピローグ 1889年
著者情報
ベルタ・フォン・ズットナー
19世紀末から20世紀初めにかけて活躍したオーストリアの小説家・平和運動家。1843年6月9日、オーストリア帝国下のプラハで、ベルタ・フォン・キンスキー伯爵令嬢として生まれる。1876年、アルトゥール・フォン・ズットナーと結婚。1889年の『武器を捨てよ!』(Die Waffen nieder!)の出版を機に、ハーグ平和会議(1899年、1907年)をはじめとする様々な国際的な平和会議の開催に協力するなど、平和運動の最前線で活動する。また、ノーベルの秘書をつとめた経緯から彼と生涯にわたる親交を保ち、ノーベルが平和賞を創設するうえで大きな思想的影響を与えたと考えられている。1905年、女性初のノーベル平和賞受賞者となる。1914年6月21日、ウィーンで死去。

武器を捨てよ!(上)
定価2,420円
(本体2,200円)
2011年4月
ズットナー研究会
ズットナーのノーベル平和賞受賞100周年にあたる2005年から本作の翻訳にとりくむ。山根和代(立命館大学、平和学)、糸井川修(愛知学院大学准教授、ドイツ文学)、中村実生(愛知県立大学・愛知学院大学ほか非常勤講師、ドイツ文学)、小島健太郎(成蹊高等学校教員、平和学・平和教育学)、西本圭子(兵庫県立高等学校教員、平和学)、林清俊(翻訳家)。

武器を捨てよ!(上)
定価2,420円
(本体2,200円)
2011年4月