
原発事故以来、高まる放射線への不安。放射線の健康へのリスクを小さくすることと、なぜ日本で「安全性軽視で、経済開発優先主義的な」原発政策が進められてきたのかを考え、この国の主権者として、国のエネルギー政策のあり方をしっかりと見定めて行動するために、40年来の原発開発批判を続ける著者がおくるテキストです。
目次や構成
〔目次〕
- 第1章 福島原発事故の「理科」
- 1.福島原発事故は、何をもたらしたか?
- 2.放射線の影響と防護の基本ーー二種類の影響
- 3.どうやって放射線のリスクを減らすか?
- 第2章 福島原発事故の「社会科」
- 1.原発開発の歴史を見直す大切さ
- 2.広島・長崎の核被害が知られなかったわけ
- 3.アメリカとソ連のしれつな核軍備競争
- 4.ソ連による初の原発実用化とアメリカの対応
- 5.ブルックヘブン報告が示唆した原発事故の影響
- 6.原子力損害賠償法で国が電力会社を庇護した
- 7.日本の原発開発を押し進めた中曽根康弘氏
- 8.原子力の平和利用を宣伝した正力松太郎氏
- 9.日本が水力→火力→原子力と推移したわけ
- 10.田中角栄内閣が作った「電源開発促進税法」
- 11.住民も原発推進に巻き込まれた
- 12.国民総動員原発推進翼賛体制
- 13.大切な主権者としての私たちの主体的行動
- 第3章 私たちはどうすべきか?
- 1.電力のつくり方を選ぶ時の考え方
- 2.代替エネルギーの開発・普及への課題と展望
- 3.節電型の生産・流通・消費・廃棄
- 終 章 40年来の原発批判活動から思うこと
著者情報
安斎育郎
1940年、東京生まれ。立命館大学国際平和ミュージアム名誉館長、立命館大学名誉教授、安斎科学・平和事務所所長。平和のための博物館国際ネットワーク・諮問理事。ベトナム政府より文化情報事業功労者記章受章、第22回久保医療文化賞、ノグンリ国際平和財団第4回平和賞受賞。近著に『核兵器禁止条約を使いこなす』(共著・2018年、かもがわ出版)、『子育ち・子育て 被ばくカットマニュアル』(2016年、かもがわ出版)『疑うこころ、科学する眼』(2015年、かもがわ出版)『語りつごうヒロシマ・ナガサキ全5巻』(2015年、新日本出版社)、『放射能から身を守る本』(2014年、KADOKAWA/中経出版)、『「原発」文献事典』(2014年、日本図書センター)、『原発事故の理科・社会』(2012年、新日本出版社)