
認知症800万人時代に社会はどう備えるか
社会とともに歩む認知症の本
宮澤由美=著
高齢化社会の到来とともに、認知症患者は800万人に達すると言われ、大きな社会問題となっている。医療だけでは限界があり、社会全体でどう対応し、支えていくのか、年金・医療・介護制度の在り方も含め、視野を広げて考えていくことが必要である。当事者、家族だけでなく、医療・介護従事者に必須な専門知識も紹介。
目次や構成
はじめに 3 第1章 予想を超えて増える認知症 11 (1) 「もの忘れ外来」に行ってみた 13 良子さんの長い長い一日 14/「もの忘れ外来」のかかり方 19 「もの忘れ外来」って何するの? 20/増える「もの忘れ検診」 21 (2) やっぱり認知症、治療はどうする? 22 認知症って病気? 24/認知症の症状って? 26 認知症の新しい薬 29/良子さんのその後 30 「もの忘れ外来」とうつ状態 32/地域包括支援センターとは? 33 (3) 認知症の進行に有効な予防方法は? 34 良子さんの生活習慣 35/認知症予防にかかせない生活習慣 37 (4) 注目されるレビー小体型認知症 40 (5) 若年性認知症の場合は? 40 前頭側頭葉型認知症の特異な症状とは? 42/若年向けのデイケアを探そう 43 第2章 明るい認知症闘病生活をめざして 45 (1) 「認知症カフェ」で仲間づくりを 46 米どころの「認知症カフェ」 47/「もの忘れ外来」から「もの忘れカフェ」へ 50 医療生協の挑戦 52 (2) 「おひとりさま」が認知症になると? 56 多様化する「おひとりさま」の形態 56/一人暮らしの人と認知症 57 「おひとりさま」の認知症への備え 60 (3) 周囲の対応で変わる認知症の人 65 綾香さんの仕事 66/バリデーションとの出合い 67 認知症の人とのコミュニケーション法は? 68/次はユマニチュード 70 ケアメソッドの現状 76/行動・心理症状と薬物療法 79 身体拘束の行方は? 80 第3章 深刻化する認知症患者 85 (1) 崩壊する地域社会、増える「漂流老人」 87 突然の知らせ、幸恵さんの入院 87/高齢者をとりまく状況 90 安心はお金で買う時代? 92/一人暮らしができなくなったら? 94 「辛抱」と「覚悟」 97/病院から在宅へ 98/一気に進む首都圏の高齢化 101 幸恵さんのケアプラン 102/一連の出来事 104/介護離職が毎年一〇万人も 106 認知症の家族会とは? 108/市役所職員の悩み 110 (2) 認知症に対する行政の対応 112 「緊急プロジェクト」が達成したもの 113/「オレンジプラン」とは 117 安倍首相が断言した「認知症国家戦略」 121/驚くべき「医療・介護総合法」 123 地域包括ケアシステムとは? 128 (3) 二〇一一年三月一一日、認知症の人に何が起きたか? 134 被災でさまよう認知症の人 134/不足する介護体制は緊急課題 136 第4章 未来を夢見て連帯の力で 139 (1) 外国の認知症対策 140 地球規模で進む高齢化 140/オランダの認知症をめぐる状況 141 実際の認知症の人の療養は? 142/自宅で暮らせなくなったら? 145 活躍するボランティア 147/イギリスの状況は? 148 日本の制度、状況との違い 151 (2) 年金・医療・介護制度の改善なしに救われない 153 「社会保障と税の一体改革」とは? 155/介護従事者の処遇 157 重くのしかかる家族介護の負担 159/高齢者虐待を受けた人の八割は認知症 161 (3) 高齢社会を国民の力で成熟した社会に 164 芳野さんのピュアな恋 164/人間の欲求と社会発展 167 「成熟した社会」をめざして 168/高齢者・認知症の人の尊厳が保障されてこそ 171 不可欠な大きな連帯の輪 172 おわりに 173
著者情報
宮澤由美
1962年生まれ。香川大学医学部卒。精神科医、認知症ケア専門士、汐田総合病院神経内科科長・リハビリテーション科部長。著書『認知症に向き合う本』(2009年、新日本出版社)。

社会とともに歩む認知症の本
定価1,650円
(本体1,500円)
2015年9月