
明治政府の圧制を改めるために民衆が蜂起した秩父事件は、長い間「暴徒による暴動」視され、事件関係者の末裔も口を閉ざし続けた。その民衆蜂起が現在の日本国憲法に結実した民主主義の源流であったことを明らかにするために、地道に研究と顕彰をすすめてきた人たちを取材し、秩父事件を再評価するユニークな歴史紀行。
目次や構成
- 1章 私と秩父事件—秩父困民党の末裔・新井健二郎さんとの出会い
- (1) 秩父事件の史跡を訪ねる
- (2) 新井健二郎さんと日本共産党
- 2章 秩父事件とは—『秩父事件 圧制ヲ変ジテ自由ノ世界ヲ』から読み解く
- 3章 半世紀を経て初めて等身大の評価—秩父事件研究・顕彰/戦前
- (1) 「埼玉の暴動」と矮小化—板垣退助監修『自由党史』
- (2) 「暴動」ではなく「志士」—落合寅市の抗議と井上伝蔵の死
- (3) 社会主義運動の体験から照射—堺利彦
- (4) 「戦前秩父事件研究の最高峰」—平野義太郎
- 4章 100周年記念碑に「自由への狼火」—秩父事件研究・顕彰/戦後
- (1) 中澤市朗と「秩父事件騒動70周年記念集会」
- (2) 画期となった「秩父事件88周年記念集会」
- (3) 蜂起の地・椋神社に100執念記念碑
- (4) 120周年記念映画「草の乱」
- (5) 秩父事件研究顕彰協議会の会報『秩父』
- (4) 秩父事件は「近代以降の民衆の抵抗の証」
- 〈参考資料〉
著者情報
ツルシカズヒコ
1955年宮城県生まれ。本名は靍師 一彦(つるし・かずひこ)。編集者・ジャーナリスト・日本近現代史研究者。元『週刊SPA!』編集長。「しんぶん赤旗」で「ツルシのぶらり探訪」連載中(イラストは妻のワタナベ・コウ)。 著作に『「週刊SPA!」黄金伝説―― 1988~1995 おたくの時代を作った男』(2010年、朝日新聞出版)、『ポチ&コウの野球旅』(ワタナベ・コウとの共著、2004年、光文社・知恵の森文庫)など。ワタナベ・コウとインディーズ・マガジン『クレイジー・ヤン』発行。ブログで「あきらめない生き方――詳伝・伊藤野枝」連載中。

秩父事件再発見 民主主義の源流を歩く
定価1,760円
(本体1,600円)
2018年7月