
官邸がテレビのニュース・情報番組の出演者の発言を詳細にチェック……。それに対しメディアは、真実の報道、権力の監視という本来の機能を果たせているのか。政権のメディア統制の野望と、その歴史的転換点はどこにあったのかを解明。半世紀以上メディアの現場で闘い、研究してきた著者の放送史ドキュメント(遺著)。
目次や構成
<書評情報>
- 東京新聞(2021年4月25日付)<評者:隈元信一さん>
目次
プロローグ
- 1 戦後メディアの再編成とは
- 1 メディアの再編成—全国紙を頂点としたピラミッド型
- 2 世論操作機関「日本広報センター」
- 3 制作分離とプロダクション化の波
- 4 せめぎあい、そして……
- 2 新聞とテレビの系列一本化
- 1 東西のネット組みかえと三つ巴の「力学」
- 2 ジャーナリズムの変質と劣化
- 3 小選挙区制とメディアの犯罪
- 4 椿発言問題
- 3 裏切られた公共ライブラリーと独立行政委員会構想
- 1 ライブラリー運動の旗揚げ
- 2 推進に水差す「映像産業育成構想」
- 3 生かせなかった「独立行政委員会構想」
- 4 政権のメディア支配に抗して
- 1 NHK会長公選制のとりくみ
- 2 安倍政権によるメディア支配の強まり
- 3 放送法の取り締まり法化を阻止
エピローグ—国連人権委員会ケイ教授の「勧告」にいかに答えるか
著者情報
松田浩
1929~2020年(11月3日死去) 1953年東北大学経済学部卒業。日本経済新聞入社、編集委員を経て、立命館大学教授、関東学院大学教授を歴任。メディア総合研究所研究員。 著書に『NHK――危機に立つ公共放送』(2014、岩波新書)、『戦後史にみるテレビ放送中止事件』(共著、1994年、岩波ブックレット)、『ドキュメント放送戦後史Ⅰ・Ⅱ』(1980、双柿舎、ⅠでJCJ奨励賞受賞)、『講座現代ジャーナリズム(3)――放送』(共編著、1974年、時事通信社)、『知られざる放送』(共同筆名・波野拓郎、1966年、現代書房、JCJ奨励賞受賞)など

メディア支配 その歴史と構造
定価2,090円
(本体1,900円)
2021年2月