
子どもと教師がともに成長するために
「質の高い教師」とは何か
福井雅英=著
国家のための人材として「質の高い教師」を求める文科省へのアンチテーゼ。教師がいかに成長するかを探究します。子どもが抱える困難をその生活状況も含めてとらえ多角的に考察。教師同士が子どもを理解する交流の場の重要性、子どもの姿と自らの実践を分析した「実践記録」の書き方を解説します。現役教師必携の一冊です。
目次や構成
<目次>
- 第1章 どんな教師でいたいか——教師像を描く
- 1 自らの教師像を問い直す
- 2 子どもと学校の現実を見つめ直す
- 3 社会の中の学校・地域の中の家族と子どもをとらえ直す
- 4 教職生涯を描き直す
- 第2章 子どもに学び、同僚とともに成長し続ける教師
- 1 子どもに学び成長する教師
- 2 教師の成長——子どもとの出会い
- 3 実践記録をどう書くか/どう活かすか——応答を軸に実践を記録する
- 4 実践記録を書くことの意味
- 第3章 子ども理解と「子ども理解のカンファレンス」
- 1 子ども理解の重要性とその難しさ
- 2 子ども理解をめぐる教師の専門性——教師の想像力と社会認識
- 3 教師の育つ場の保障——子どもと実践を自由に語り合う学びのコミュニティ
- 4 子どもの育ちを支える現場の教育研究——「子ども理解のカンファレンス」
- 第4章 「質の高い教師」を考える視点
——子どものニーズから教師の専門性を問い直す
- 1 教師の専門性をどのような視点で考えるか
- 2 子どもの現実に照らして求められる教師の専門的力量とは何か
- 3 文部科学省「新たな教師の学びの姿」から考える
- 第5章 新自由主義教育を超克する教師たち
——「二〇〇九年型教職観」を乗りこえて
- 1 新自由主義が求める教師像と教育現場
- 2 「子どもをつかむ」という教師の教育観が示すこと
- 3 保護者とともに地域をつくる教師のしごと——教師の地域認識の変化と教職意識
- 第6章 子どもと教師が育ち合う学校づくり
——臨床教育学からのアプローチ
- 1 子どもと心通わせる教師
- 2 発達援助専門職としての教師
- 3 育ちを支える現場の臨床教育学と教師
- 4 子ども理解の深化と教師の成長
あとがき
はじめに
著者情報
福井雅英
1948年生まれ。神戸大学大学院修了。博士(学術)。武庫川女子大学助教授、北海道教育大学教授、滋賀県立大学教授などを経て、現在、日本臨床教育学副会長。主な著書に、『子ども理解のカンファレンス』(かもがわ出版、2009年)、近現代日本教員史研究会編『近現代日本教員史研究』(共著、風間書房、2021年)などがある。

「質の高い教師」とは何か
定価2,640円
(本体2,400円)
2025年4月