
熱波、洪水や豪雨災害……気候危機対策は待ったなしです。世界が温室効果ガスの削減に力を合わせるべき時、その転換を阻もうとする人々がいる一方、再生可能エネルギー利用が急拡大中。その中から生産手段の民主的社会化の流れも生まれています。各国の経験を調査・研究してきた著者が未来への希望をわかりやすく語ります。
目次や構成
<目次>
- 第1章 地球温暖化による「地球システム」破壊の危機
- (1) 世界の年平均気温の上昇とその影響
- (2) 迫る地球システムのティッピング・ポイント(転換点)
- 第2章 資本主義の拡大がもたらした地球温暖化・気候危機
- (1) 増加し続けてきた大気中の温室効果ガス
- (2) 化石資源のエネルギー利用とCO2
- (3) 世界と主要国のCO2排出量
- (4) 資本主義的生産の世界的拡大がもたらしたもの
- (5) 格差拡大と気候危機
- 第3章 人間社会の「負の転換」危機を避けるには――持続可能な社会への転換のために必要なこと
- (1) 再生可能エネルギーの特性と適切な普及方法
- (2) 持続可能な生産・消費システムとは
- (3) 持続可能な社会への転換を恐れる勢力の動き
- (4) 地球システムの転換による負の社会転換リスク
- (5) 危機回避へ「1.5℃」に抑制するための条件
- (6) リスク回避と「正の社会的転換」は可能
- (7) 再生可能エネルギー中心社会のエネルギー利用構造
- 第4章 世界と各国の再生可能エネルギー普及動向
- (1) 加速度的に伸びる最近の世界の再生可能エネルギー
- (2) 急増する発展途上国の再生可能エネルギー普及
- (3) 再生可能エネルギー普及による社会・経済への影響
- (4) 世界各国の再生可能エネルギー普及状況
- (5) 世界の再生可能エネルギー普及をリードするデンマークとドイツ
- (6) 化石資源輸出国オーストラリアも再生可能エネルギー立国へ
- (7) インドの再エネ普及による農村地域開発と地球温暖化防止
- (8) 遅れる日本の再生可能エネルギー普及とその原因
- (9) 世界の「2030年再生可能エネルギー3倍増」の可能性
- 第5章 市民・地域主導での再生可能エネルギー普及
- (1) デンマークの地域住民共同風力発電所
- (2) デンマークの再生可能エネルギーを活用した地域暖房
- (3) ドイツでの市民・地域主導の取り組み事例 ――需要の5倍の再エネ発電、余剰電力を有効活用するノルトフリースラント郡
- (4) 原発反対から再生可能エネルギー100%を実現したLD郡
- (5) 再生可能エネルギー100%政策で発展するフライアムト村
- (6) 市民の、市民による、市民のための「シェーナウ電力」
- (7) イギリス・ルイス市の地域主導による取り組み
- (8) 各国に広がる市民・地域主導の再生可能エネルギー普及
- (9) 日本の市民共同発電所運動の経緯と成果
- (10) 市民・地域主導での普及が社会にもたらす好影響
- 第6章 市民・地域主導の再生可能エネルギーと生産手段の民主的社会化
- (1) 資本主義的電力生産・供給システム
- (2) 再生可能エネルギー中心のエネルギー生産・供給・消費
- (3) 電力生産手段の「民主的社会化」
- (4) 都市ガスや熱の生産手段の所有変化と民主的社会化
- 第7章 直線型生産から循環型生産への転換の動きと課題
- (1) 循環型生産への契機――欧州での容器包装類の3R推進の取り組み
- (2) EUによる「循環型経済行動計画」の推進
- (3) オランダの循環型経済を目指す先駆的取り組み
- (4) 日本の循環型社会形成への取り組みの現状と課題
- (5) 世界の循環型経済への移行動向
- 第8章 資源循環型生産への移行と物的生産手段の民主的社会化
- (1) 持続不可能な直線型物的生産・消費システム
- (2) 循環型物的生産・使用システムへの移行 ――気候保全効果と生産手段の民主的社会化も
- (3) 有機資源の製炭が果たす大気中のCO2濃度低減の役割
- 第9章 危機防止の生産システム転換がもたらす持続可能な社会
- (1) 生産手段の社会化について
- (2) 生産手段の民主的社会化による社会の発展
- (3) 生産手段の民主的社会化が進むデンマーク社会
- 第10章 市民・地域主導で再エネ100%の持続可能な日本へ
- (1) 日本の豊富な再生可能エネルギー資源
- (2) 再生可能エネルギー100%の日本を目指す政策
- (3) 社会のあらゆる主体が再エネ電力の生産者になる取り組み強化
おわりに
著者情報
和田武
1941年、和歌山県生まれ。「自然エネルギー市民の会」代表。京都大学大学院工学研究科修了、工学博士(大阪大学)。住友化学工業中央研究所で15年勤務後、大阪経済法科大、愛知大、立命館大で教授を歴任。2009~13年日本環境学会会長、2012~15年経済産業省調達価格等算定委員会委員。主な著書に『地球環境保全論』(2021年、創元社、共著)『再生可能エネルギー100%時代の到来』(2016年、あけび書房)、『市民・地域主導の再生可能エネルギー普及戦略』(2013年、かもがわ出版)など。

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