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共同研究 広島・長崎原爆被害の実相

沢田昭二=著 永田忍=著 安斎育郎=著 安野愈=著 増田善信=著 角田道生=著 齋藤紀=著 野口邦和=著 田中熙巳=著 高橋健=著 伊藤直子=著

定価3,080円(本体2,800円)

出版年月
1999年7月
ISBNコード
978-4-406-02672-7
仕様
3030/ A5判上製/ 258P
タグ
人文    歴史一般   
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原爆投下から半世紀以上が経過した今日も,行政は原爆障害に苦しむ被爆者に冷たく,訴訟があいついでいる。原爆投下の経緯,物理的被害と放射線障害,黒い雨の雨域,人体への影響など,被爆者と各分野の専門研究者が共同で最新の到達を集成。

目次や構成

「はじめに」より

日本の原爆被害の調査・研究は、医学、自然科学、さらに人文・社会科学にわたって、占領期の一時期を除いて質・量ともに着実に築かれてきた。厚生省はこうした調査・研究の成果によるものではなく、アメリカの核兵器の効果の研究に起源をもつDS86に全面的に依拠している。その放射線量評価の遠距離部分が広島・長崎の実際よりも著しく過小評価になっていることを、日本の研究者が地道な測定研究で明らかにしてきた。なぜ厚生省はこうした研究には目をつぶって、DS86にこだわるのだろうか。戦争犠牲者に背を向ける一方で、日米安保体制のもとでアメリカの「核の傘」に身を寄せ、核兵器の使用が国際法違反とは言い切れないと主張するなど、万事にアメリカ追従を貫こうとしている姿勢が根底にあるとしか言いようがない。

こうした状況の中で、まず何よりも「DS86の科学性」とはいかなるものであるかを明らかにする必要があった。さらに、遠距離被爆に大きな影響をおよぼす“黒い雨”の降雨地域の再検討を含む放射性降下物の研究も必要であった。そして、低線量放射線の人体への影響がどこまで解明されているのか、閾値理論(第3章参照)を含めて検討されねばならなかった。

(中略)

アメリカは、被爆者援護の問題より、戦略兵器としての原爆あるいは核兵器の効果に関心があり、もともと広島と長崎への原爆投下にはこうした実験的要素も含まれていた。DS86のアメリカ側の利用目的にはこうした核戦略的意図が背景にある。そもそもアメリカがどのような位置づけのもとで原爆の開発を急ぎ、日本に投下したかを紹介するために、第1章を設けた。

第2章では、その後の章の理解のために、原爆の物理的影響の基本原理に重点を置いて説明する。

第3章で、DS86の問題点について検討し、実測地にもとづいて実際の広島・長崎原爆の初期放射線量の推定を行う。

第4章で、「黒い雨」の降雨域の新しい研究を紹介しつつ、「専門家会議」の問題点を検討し、放射性降下物が広範囲にわたった可能性について述べる。

第5章において、原爆被爆者の障害を被爆直後から今日まで現代医学の視点をふまえて解明する。

第6章で、放射線の人体への影響についての最近の到達点と問題点を紹介する。

第7章で、被爆直後から今日まで行われたさまざまな被爆者調査結果にふれて、放射線障害、とくに遠距離および入市被爆者の障害に焦点を当てる。

第8章では、被爆者行政の問題点、とくに被爆者認定審査の実情を原爆裁判ともあわせて検討する。

目次

  • 第1章  核開発から原爆投下まで
  • 第2章  原爆被害の物理的側面
  • 第3章  原爆放射線の線量評価
  • 第4章  原爆後の“黒い雨”と降下物
  • 第5章  原爆被爆者の障害
  • 第6章  放射線の人間に対する影響
  • 第7章  原爆被爆者の実態調査
  • 第8章  被爆者行政と原爆症認定制度

著者情報

沢田昭二

永田忍

共同研究 広島・長崎原爆被害の実相

共同研究 広島・長崎原爆被害の実相

定価3,080円
(本体2,800円)

1999年7月

安斎育郎

1940年、東京生まれ。立命館大学国際平和ミュージアム名誉館長、立命館大学名誉教授、安斎科学・平和事務所所長。平和のための博物館国際ネットワーク・諮問理事。ベトナム政府より文化情報事業功労者記章受章、第22回久保医療文化賞、ノグンリ国際平和財団第4回平和賞受賞。近著に『核兵器禁止条約を使いこなす』(共著・2018年、かもがわ出版)、『子育ち・子育て 被ばくカットマニュアル』(2016年、かもがわ出版)『疑うこころ、科学する眼』(2015年、かもがわ出版)『語りつごうヒロシマ・ナガサキ全5巻』(2015年、新日本出版社)、『放射能から身を守る本』(2014年、KADOKAWA/中経出版)、『「原発」文献事典』(2014年、日本図書センター)、『原発事故の理科・社会』(2012年、新日本出版社)

安野愈

共同研究 広島・長崎原爆被害の実相

共同研究 広島・長崎原爆被害の実相

定価3,080円
(本体2,800円)

1999年7月

増田善信

共同研究 広島・長崎原爆被害の実相

共同研究 広島・長崎原爆被害の実相

定価3,080円
(本体2,800円)

1999年7月

角田道生

共同研究 広島・長崎原爆被害の実相

共同研究 広島・長崎原爆被害の実相

定価3,080円
(本体2,800円)

1999年7月

齋藤紀

共同研究 広島・長崎原爆被害の実相

共同研究 広島・長崎原爆被害の実相

定価3,080円
(本体2,800円)

1999年7月

野口邦和

1952年千葉県生まれ。東京教育大大学院理学研究科修士課程修了。日本大学専任講師(放射線防護学)。理学博士。『放射能事件ファイル』(新日本出版社)、『徹底解明 東海村臨界事故』(共著、同)、『共同研究 広島・長崎原爆被害の実相』(共著、同)、『山と空と放射線』(リベルタ出版)、『地球核汚染』(共著、同)など著作多数

田中熙巳

共同研究 広島・長崎原爆被害の実相

共同研究 広島・長崎原爆被害の実相

定価3,080円
(本体2,800円)

1999年7月

高橋健

共同研究 広島・長崎原爆被害の実相

共同研究 広島・長崎原爆被害の実相

定価3,080円
(本体2,800円)

1999年7月

伊藤直子

共同研究 広島・長崎原爆被害の実相

共同研究 広島・長崎原爆被害の実相

定価3,080円
(本体2,800円)

1999年7月