
湾岸戦争を契機とする「国際貢献」論などの登場とともに一挙に強まった改憲のイデオロギー攻勢と自衛隊海外派兵の策動。そのねらい・意図を明らかにしつつ憲法学の立場から日本国憲法の平和原則の果たす今日的役割を解明した論集。
目次や構成
[目次]
- 第一部 湾岸戦争と「国際平和協力法」案
- Ⅰ イラク問題と憲法の恒久平和主義
- なにがねらわれているか
- 憲法の平和主義が命ずること
- 「国連平和協力法」案の検討
- 国連の平和活動と憲法
- 国連精神と憲法のこころ
- Ⅱ 第二次「協力法」動向の焦点
- 廃案決定と第二次協力法への幕開け?
- 奇妙な三党合意
- なぜ「国連平和維持活動」か
- 国連平和維持活動と憲法
- 「国連ルネサンス」と憲法
- Ⅲ 「特例政令」・戦費支出の憲法問題
- 立憲主義と平和主義
- 「特例政令」の違憲性
- 「財政支援」の憲法問題
- 日本がとるべき道
- Ⅳ 湾岸戦争と「政治改革」
- 湾岸戦争後の国際「秩序」
- 湾岸危機と憲法問題
- 「政治改革」の射程
- 憲法の平和主義の歴史性と現代性
- Ⅰ イラク問題と憲法の恒久平和主義
- 第二部 新たな「戦後」と「国連平和維持活動等協力法」
- Ⅴ 湾岸戦争後と第二次協力法の登場
- ある予測の的中
- 「PKO協力」への環境整備
- 修正協力法?
- 「PKO協力」の憲法論
- 「現実」にどう向きあうか
- Ⅵ 「国連平和維持活動等協力法案」批判
- 「解釈」に値しない解釈改憲
- PKOを超える「協力対象」
- 武力を行使する自衛隊と国民協力
- ドイツの基本法改正作業との落差
- Ⅶ 日本国憲法の平和主義と「国際貢献」
- 「国際貢献」用語にこだわる
- 「PKO法案」の欺瞞性
- 「国際貢献」論のイデオロギー性
- 「憲法の立場に立った国際貢献」の論じ方
- 「政治改革」論と「国際貢献」論
- Ⅷ 新たな「戦後」と憲法の平和主義
- 新たな「戦後」と能動的「貢献」論
- 「戦後」憲法から普遍性を呼び出す
- 非軍事平和主義の歴史性と普遍性
- 国家の自衛権と国民の平和的生存権
- 新たな「戦後」と統一ドイツ
- 「国際貢献」と諸国民間の協力・協働
- Ⅸ 派兵法案審議の山場で迎えた憲法記念日
- 総がかりの攻撃のなかで
- 浮上した「PKF凍結案」のねらい
- 「PKF凍結」でも凍る憲法
- 小沢調査会に呼応する改憲論の大合唱
- 小沢調査会答申案を読む
- Ⅹ 派兵法の「成立」と派兵法廃止への道
- 議会制民主主義なき「可決」
- 山積したままの疑問
- 変質する国連と「平和維持活動」
- 派兵法廃止への道
- Ⅴ 湾岸戦争後と第二次協力法の登場
- あとがき
- 【巻末・資料】
- 日本国憲法から
- 国際連合憲章から
- 国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律
- 小沢調査会答申案(抄)
著者情報
森英樹
名古屋大名誉教授、龍谷大名誉教授。1942年、三重県生まれ。『主権者はきみだ〔新版〕』(1997年・初版1991年、岩波書店)、『憲法のこころに耳をすます』(1997年、かもがわ出版)、『憲法の平和主義と国際貢献』(1992年、新日本出版社)など著作多数。

憲法の平和主義と「国際貢献」
定価1,923円
(本体1,748円)
1992年10月