
「普通の子」が突然,凶悪事件を起こす。いつ,わが子が……。子どもをもつ親の不安は大きい。本書は,教育評論家として活躍している著者が,相談活動で出会った事件を取りあげ,社会病理としての問題の根源にせまり,解決の糸口をさぐる。
目次や構成
[目次]
- はじめに
- 第一章 嵐のなかの親と子の風景
- 1 子どもにおびえる親たち
- 事件と背中合わせの子どもたち
- 親と子の蟻地獄
- 「十七歳」の影におびえる母親
- わが子に殺意をいだくとき
- 2 家庭内暴力がもたらした悲劇
- 殺伐たる密室の暴力
- 家庭内暴力は弱者の暴力
- 子どもに暴力をふるわせてはいけない
- 3 親の暴力と子どもの逆襲
- 夫婦間暴力と子ども
- 父親に対する憎悪
- 拒絶は愛情要求の裏返し
- 父と子の和解
- 1 子どもにおびえる親たち
- 第二章 続発する少年事件と子どもたち
- 1 流行語となった「十七歳問題」
- いま、なぜ十七歳なのか
- 「十七歳問題」と神戸事件
- ダーティーヒーローとなった酒鬼薔薇
- 過剰な適応は自己を喪失する
- 2 「十七歳問題」と子どもたち
- 事件の少年たちは特別な子どもではない
- 「ある少年の主張」
- ある女子高校生の小論文
- 子どものもつ力と可能性
- 1 流行語となった「十七歳問題」
- 第三章 子どもはなぜ「非行」に走るのか
- 1 「非行」と少年法
- 「非行」とは何か
- 少年法が規定する「非行」
- 少年院とはどういうところか
- ある少女少年院
- 自分を見つめることを大切に
- 厳罰化で抑止できるのか
- 少年法「改正」がめざすもの
- 2 「よい子」「普通の子」が「非行」に走るとき
- わたしも「不良少年」だった
- ある戦後精神
- 自分を生きる勇気
- 「よい子」を放棄した子どもたち
- 子ども期の喪失
- いま、教師の子があぶない
- いそがしすぎる日本の教師
- 教師の子どもであるということ
- 「教師」であることと「親」であること
- 3 家族崩壊の危機にさらされる子どもたち
- 一家四人殺害事件死刑囚の生い立ち
- 「崩壊」する家族のはざまで
- 見た目の「幸せ家族」からの逃避
- 4 学校・教師と少年非行
- 子ども不在の学校秩序優先の論理
- 高校の処分主義が生む「非行」
- 「出席停止」という名の排除
- 1 「非行」と少年法
- 第四章 子どもが心をひらくとき
- 1 五千万円恐喝事件の少年
- 事件が突きつけたもの
- 事件の背景にあったいじめ、体罰、排除
- 「親が変わらなければ子どもは変われない」
- 2 信頼できる大人との出会い
- 親身の先生を持つ生徒
- 「あんた、あたしの先生やから」
- 3 大きな代償を払った少年の再起
- 少女の人生を変えてしまった事故
- 「子どもを追いつめないように」
- 自分の人生を大切にすることが償い
- 4 親が変わるとき
- サバイバルナイフを持った父親
- 価値観の押しつけでなく
- 心をひらかせた二百通の手紙
- 1 五千万円恐喝事件の少年
- 支えあう親たち―むすびに代えて
著者情報
能重真作
1933年生まれ。東京学芸大学国語科卒。現在、教育評論家、「非行」と向き合う親たちの会代表世話人。国学院大學講師。

「十七歳」が心をひらくとき
定価1,760円
(本体1,600円)
2001年4月