
いま深い闇の中にある家庭や学校、そして社会。出会い系サイトで知った彼とプチ家出に走る少女、暴走族で逮捕される少年。深夜に事件の現場に駆けつけ、家裁の審判の付き添い人として親身に子どもたちと向き合ってきた著者が、困難をのりこえ立ち直っていく子どもたちや、非行がきっかけで絆が強まった家族の姿を感動的に描きます。
目次や構成
「はじめに」より
いうまでもないことですが、子どもは自らの生を選ぶことができません。親を選ぶこともできなければ、自分が生きる社会も時代も選ぶことはできません。いつの時代でも同じことですが、今日ほど、そのことのもつ意味が大きな時代はないと思います。
(中略)
子どもの置かれている社会と時代が不毛の砂漠のような状況であっても、子どもの自己回復力と子どものもつ豊かな可能性に確信をもち、子どもとしっかりと向き合う親や大人の存在があれば、子どもは必ず自分の花を咲かすことができるとわたしは確信しています。
たくさんの子どもたちがそのことを事実をもってわたしに教えてくれました。
そのことを理屈ではなく、事実で示したのが本書です。
(後略)
[目次]
- 第1話 もうすぐ春ですね
−「いらない存在」と感じていた少女−
- 第2話 早咲きの桜
−中学生の愛と性−
- 第3話 夏の日の夕立
−子どもの「非行」で強まった家族の絆−
- 第4話 誰もいない海
−誰にも話せない自分に悩んでリストカット−
- 第5話 嵐の季節
−「よい子」の仮面を捨てるとき−
- 第6話 「浮遊する性」
−性を商品化する社会の中の少女たち−
- 第7話 バラの花の贈り物
−携帯のメールがつないだ母と子の絆−
- 第8話 自分の花を咲かせたい
−いまは「お水の世界」でも−
- 第9話 幻想即興曲
−夢までは捨てていなかった−
- 第10話 「幸せ家族」の幻想
−娘の「非行」が問う親と子のあり方−
- 第11話 支配からの卒業
−対教師暴力で校内逮捕された少年−
- 第12話 子どもが親をのりこえるとき
−暴走行為で逮捕された少年−
- 第13話 夜明けのトランペット
−いじめから非行に走った少年が…−
- 第14話 あめあがり
−砂漠の中のオアシス・「非行」と向き合う親たちの会−
著者情報
能重真作
1933年生まれ。東京学芸大学国語科卒。現在、教育評論家、「非行」と向き合う親たちの会代表世話人。国学院大學講師。

砂漠の中でも花は咲くよ
定価1,870円
(本体1,700円)
2004年3月