
「新たな時代のマルクスよ」と呼びかけ,東北の農村で苦悩しつつ社会主義的未来をも垣間見た賢治。「春と修羅」「銀河鉄道の夜」などを読み解きつつ,賢治の生涯と文学が現代に何を問いかけているかを語る。2003年岩手日報文学賞
目次や構成
[目次]
- まえがき
- 第一章 ジョバンニの「ぼくの先生」は誰か
―トルストイと賢治―- ロマン・ロラン「トルストイの生涯」について
- トルストイと賢治
- 「天上よりももっといいとこを」
―ジョバンニの「先生」はトルストイだった―
- 第二章 いとおしむ生命
―「プレシオスの鎖」を解くもの―- 「暴力の連鎖絶て」―「二十六夜」―
- 愛と献身ささげる菩薩―「ひかりの素足」―
- 生命への限りない"いとおしみ"
- 今に生きる賢治の声
- 第三章 みんなのほんとうの幸いもとめて
―「銀河鉄道の夜」―- ふたつの「銀河鉄道の夜」
- 「ほんとうの幸い」への天空の旅
- 「天上よりももっといいとこ」をつくろう
- 未完に終わった「ほんとうの幸い」の探求
- 第四章 苦悩の日々
―でこぼこ凍ったみちをふみ―- 宗教の新たな役割―9・11以後の世界の中で―
- 「まことの道」の探求へ―法華経との出合い―
- 保阪嘉内との出会い
- 煩悶の日々の中で
- 嘉内との別れ―新たな道へ―
- 第五章 悲傷を焚いて
―オホーツクへの旅―- 教師宮沢賢治
- トシとの別れ―永訣の朝―
- オホーツクの旅へ―悲しみを深く沈めて―
- 第六章 異途への出発
―「昨日の安易なすみか」を捨てて―- 名詩「早春独白」
- 「あらたな仕事をみつけるのだ」
- 未踏の精神世界へ
- 強まる教育統制
- 「ほんとうの百姓になる」
- 第七章 みんなのところをつぎつぎと明日はまわって行こう
- 農民芸術の興隆へかける夢
- 賢治の活動フィールド
- 羅須地人教会
- 稲作指導の実践
- 垣間見た人―労農党と賢治―
- 第八章 修羅の真言
―雨ニモマケズ―- 「今身より仏身に至るまで」
- 最後の実践―東北砕石工場―
- 雨ニモマケズ―常不軽菩薩のごとく―
- 転変する世界の中で―終焉―
- 第九章 現代に生きる賢治
- 宮沢賢治のなかの"未来に属すもの"―誕生百年に寄せて―
- 賢治の"豊かさ"を受けつぐ
- 人びとへの限りない尊敬と共感
- 受け継ぐ賢治のバトン
- あとがき
著者情報
三上満

明日(あした)への銀河鉄道 ―わが心の宮沢賢治―
定価1,980円
(本体1,800円)
2002年10月