
「烏の北斗七星」「双子の星」などで中国侵略が開始されたさなかに非戦の願いを込めた賢治。21世紀に暴力と報復の連鎖をどう絶ちきるのか、生命をつないでいける地球をどう守るかなど、賢治が私たちに発しつづける豊かなメッセージを、その作品と人生から読み解く。前二作とともに三部作となる三上満賢治論の集大成。
目次や構成
- 〔目次〕
- 第1章 宮沢賢治と私――出会い、別離、そして再会
- 出会い――賢治のように
- 訣別――無抵抗の思想にあきたらず
- 再会――「未来に属するもの」を受け継ぐ
- 第2章 「双子の星」――星空に繰り広げられる「戦争と平和」
- 第一次世界大戦の最中に――三つの「一九一八年八月」をつないで
- 「富士の高嶺をそのままに」――憲法第九条の初心
- 現代のチュンセとポウセ
- 第3章 「烏の北斗七星」――平和への切実な希いを抱いて
- 身に迫っていた徴兵、戦争
- 戦没学生が読んだ賢治
- 賢治の「非戦の思想」――戦地の教え子への手紙をめぐって
- 第4章 七ツ森 小岩井 くらかけ山から――苦悩と再生の軌跡を追って
- 「心象スケッチ」の原風景――ほのかなのぞみを送るのは
- ぶつかりあう青春――賢治と嘉内
- 苦悩から再生へ――長編詩「小岩井農場」の世界
- 第5章 生きる豊かさとは――宮沢賢治の豊饒な世界
- 賢治の豊かさのふたつの泉
- 賢治の四季
- 第6章 折々に賢治と
- 闇を切り裂くのろし――花巻「よだかの星」碑によせて
- カナダで賢治――「カイロ団長」と「貝の火」
- ケニヤで賢治――マサイの雨と「十力の金剛石」
- 第7章 人間の明日のために――賢治から
- ほんとうの教育を取り戻すために
- 平和と和解・寛容の世界に向けて
「まえがき」より
- 賢治は「みんなのほんとうの幸せ」を求める"修羅"として、三十七年の短い生涯を駆け抜けました。闇を裂いて昇っていった"よだか"のごとく賢治もまた星になったのかも知れません
- 天空に輝く北斗七星から、賢治は、今に生きる私たちに豊かなメッセージを送り続けているように思います。本書が、今を生き明日へ歩むみんなの糧になれば幸いです。
著者情報
三上満

賢治の北斗七星 明日へのバトン
定価1,760円
(本体1,600円)
2009年10月