
残留農薬汚染など安全性が国民的関心事となっている輸入食品。世界一の食品輸入国である日本が直面する事態を,最新の研究成果をふまえて洗い出す。食の安全の実態,環境問題との関係,自給率低下の問題点などを分析し打開の道を提言。
目次や構成
- はじめに
- 第1部 食べても大丈夫?安全性をめぐって
- 第1章 輸入食品の安全性
―問われる安全軽視の政府の姿勢- 第1節 残留農薬問題
- 明らかになった残留農薬問題の謎
- 日本の残留農薬基準の問題点
- 残留農薬の安全性上の新たに分かった問題点
- 第2節 微生物汚染問題点
- 小型球形ウィルスとA型肝炎ウィルス
- リステリア菌
- 政府の手抜き検疫によるコレラ菌の侵入
- 腸炎ビブリオ
- 病原性大腸菌O157
―手抜き検疫で集団食中毒が
- 第3節 アフラトキシンなどカビ毒汚染問題
- 輸入検疫をくぐり抜けるアフラトキシン
- 汚染輸入飼料と牛乳のアフラトキシンM1汚染
- 第4節 ダイオキシンなどの化学物質汚染問題
- 第5節 残留動物用医薬品・残留抗生物質・合成抗菌剤・ホルモン剤問題
- 残留動物用医薬品・残留抗生物質・合成抗菌剤と私たちの健康
- 残留基準が設定されていない動物医療薬品は野放し
- 畜水産食品の残留ホルモン剤問題
―EUと日本の対比
- 第1節 残留農薬問題
- 第2章 輸入食品の安全性問題と空洞化する検疫体制
- 第1節 現在の食品検疫体制
―人員と検査機器の配置- 検疫所の食品衛生監視員の配置状況
―4分の1の検疫所が1人だけ - 検査機器もまともに配置されていない
- 検疫所の食品衛生監視員の配置状況
- 第2節 検査体制はどう変わり何が問題なのか?
- 電子化した安全監視体制がもたらしたもの
- 食品衛生法改悪でなくなった国による水際での検査
- 命令検査、モニタリング検査と行政指導での自主検査の問題点
- 検疫体制を空洞化させる数々の輸入検査
- 食品検疫空洞化の系譜
- 第3節 輸入食品検疫の強化へ求められること
- 日本共産党の食品衛生法改正案
―人員と体制の抜本的強化を - 政府の食品衛生法改正案で輸入食品検疫は強化されるか
- 日本共産党の食品衛生法改正案
- 第1節 現在の食品検疫体制
- 第3章 表示面から見た輸入食品
―偽装表示とトレーサビリティ- 第1節 輸入食品をめぐる表示制度とその経緯
- 輸入食品をめぐる表示制度
- 原産国・原産地表示の経緯
- 第2節 問われる表示行政と求められるトレーサビリティ
- 輸入農水産物の偽造表示の原因と背景
- 輸入食品のトレーサビリティ
- 求められる製造年月日表示の復活と輸入生鮮食品の出荷日表示
- 第3節 遺伝子組み換え食品の表示とトレーサビリティ
- 第1節 輸入食品をめぐる表示制度とその経緯
- 第1章 輸入食品の安全性
- 第2部 環境にも影響が・・・
- 第4章 フード・マイレージ
―地球温暖化とエネルギー消費をめぐって- 第1節 フード・マイレージの発想
- 韓国の3.4倍、米国の3.7倍の日本のフード・マイレージ
- 日本の食品輸入構造が鮮明に
- 第2節 食品輸入によるCO2排出
―地球温暖化に与える影響- 日本の運輸部門の排出量の45.4%に・・・
- 外航船舶から排出される温室効果ガスはCO2に限らず
- 第3節 エコロジカル・フットプリントと日本
- 第1節 フード・マイレージの発想
- 第5章 物質循環から見た輸入食品
―閉鎖性水域の富栄養化と輸入食品- 第1節 自然界の窒素循環と日本が直面している問題
- 第2節 日本での窒素循環はどうなっているのか
- 第3節 窒素のオーバーフローによる地下水汚染
- 第4節 閉鎖性水域の富栄養化も
- 第4章 フード・マイレージ
- 第3部 食料自給と食生活を考える
- 第6章 世界一の食料輸入大国日本
―なぜ食料自給率は低下したのか- 第1節 世界一の食料輸入大国
- 第2節 日本の食料の輸入構造
- 第3節 食料輸入大国日本の食料自給率
- 第4節 自給率はどのように引き下げられてきたか
- 第5節 どうする日本の食料自給率
- 今、正念場に立つ日本の米と食料自給率
- 食料自給率向上のために
- 第7章 日本を取り巻く世界の食料事情と輸入食料依存の将来
- 第1節 日本をとりまく世界の食料事情
- FAOが示した世界の食料事情と今後の見通し
- 世界の食糧生産状況
- 地球温暖化問題と少数の国に世界の食料生産を依存する危険性
- 世界の食料生産を制約する様々な要因
- 世界の水資源に依存している日本
- 第2節 輸入食料依存の日本の将来
- 「不測時の食料安全保障マニュアル」と日本の輸入食料依存
- 2億7000万人の栄養不足人口が救える日本の食料輸入カロリー
- 第1節 日本をとりまく世界の食料事情
- 第8章 食生活から見た輸入食品
―スローフードかファーストフードか- 第1節 危機に直面している日本の食生活
- 進行している国民の食生活の乱れ
- 「肉食中心」への移行と国民の健康
- 第2節 推し進められた輸入食品に依存する食生活
- 外食産業の資本自由化とファーストフード戦略
- アメリカの健康ブームと牛肉の輸入自由化
- 第3節 国産と輸入、生鮮野菜の栄養成分は同じ?
- 輸入野菜の長期輸送と栄養成分―食品成分表示基礎データより
- 望まれる輸入生鮮野菜と国産野菜の栄養成分表示
- 第4節 スローフードと日本の伝統食を考える会
- 第1節 危機に直面している日本の食生活
- 第6章 世界一の食料輸入大国日本
- あとがき
著者情報
小倉正行
1952年生まれ。日本生協連を経て党国会議員団事務局。『輸入大国日本・変貌する食品検疫 低下する食料自給率と検疫体制の空洞化』(合同出版、1998)、『これでわかる輸入食品の話 : イラスト版』(合同出版、2000)、『多角分析 食料輸入大国ニッポンの落とし穴』(新日本出版社、2003)、『TPPは国を滅ぼす』(宝島社新書)など著作多数。

多角分析 食料輸入大国ニッポンの落とし穴
定価1,870円
(本体1,700円)
2003年3月