
犠牲者たちの日々が明らかにする日本経済の闇
「仕事が終わらない」 告発・過労死
しんぶん赤旗国民運動部=著
若い世代に急増している過労死,過労自殺。リストラが横行する企業社会の中で,さまざまな夢や生きがいをもって働く労働者の生がおしつぶされていく。その実態と,長年のたたかいが切り開いた前進を丹念に取材した渾身のルポルタージュ。
目次や構成
[目次]
- まえがき――中村隆典
- 第1章 死ぬまで働き続けて・・・・・・
- 1 広告宣伝紙会社、編集デザイナー、女性、享年二十三歳
- 2 国立循環器病センター、看護師、村上優子さん、享年二十五歳
- 3 テレビ番組制作会社、企画・制作担当、女性、享年二十三歳
- 4 大手レンタルビデオ店、店長代理、矢田部暁則さん、享年二十七歳
- 5 関西医大病院、研修医、森大仁さん、享年二十六歳
- 6 朝日生命、営業部、黒田実さん、享年二十九歳
- 7 コマツ、研究本部中央研究所、諏訪達徳さん、享年三十四歳
- 8 中堅通信機器メーカー、営業マン、男性、享年三十二歳
- 三十代中心に急増する精神疾患と過労自殺
- 若者の不安「過重なノルマ断りきれるか」
- 医師の警告「メンタルヘルスの取り組みは企業の重要課題」
- 「大企業従業員症候群」の様相をみせるうつ病
- インタビュー 増える「リストラうつ病」
―社会経済生産性本部メンタルヘルス研究所所長・小田晋さんに聞く - 9 NTT、旭川支店、男性、享年五十八歳
- 10 第一勧業銀行、国際金融法人部次長、木村公史さん、享年四十七歳
- 11 民間病院、小児科医、中原利郎さん、享年四十四歳
- 12 福島県安達町役場、企画課係長、男性、享年四十五歳
- 「三六協定」でいくらでも時間外労働させられる
- インタビュー 断トツに長い日本人の労働時間
―関西大学教授・森岡孝二さんに聞く
- 第2章 たたかいがひらいてきたもの
- 1 悲しみ乗り越えて十五年
- 2 夫の名誉かけた「ぜんそく訴訟」
- 3 海外出向中の息子の過労死で訴訟
- 4 「私たちのような家族生んではならない」
- 5 聞き取り調査で娘の過労死を立証
- 6 KAROSHIの言葉生んだ事件
- 認定基準をめぐって・家族の会
- 十五年たった「過労死一一〇番」
- インタビュー 労働組合の役割が重要
―大阪過労死問題連絡会会長・田尻俊一郎さんに聞く - 7 母親としてやるべきことを
- 8 組合の調査を力に公務災害認定
- 9 自殺の業務起因性認めさせた孤独なたたかい
- インタビュー 業務上のストレスをどうとらえるか
―精神科医・南雲與志郎さんに聞く - 10 遺族の取り組みの礎となった十七年間
- 11 再審の道探しILOにも要請
- 12 「死ぬほどがんばらなくていい」社会に
- 13 フリーの契約労働者に労災適用させた裁判
- インタビュー くも膜下出血と労働
―脳神経外科医・新宮正さんに聞く - 14 蓄積疲労による自殺を労災認定した飯島事件
- 15 父と弁護士、執念の調査で勝利した電通訴訟
- 第3章 今、職場のありかたを問う
- 1 体むしばむ勤務体制―航空会社
- 2 「人件費削減」のもとで―テレビ局
- 3 16〜17時間労働で睡眠不足―トラック運転手
- 4 走っても走っても生活苦しく―宅配便運転手
- インタビュー 高血圧もたらす深夜勤
―仙台錦町診療所産業医学センター所長・広瀬俊雄さんに聞く - 5 家族と過ごす時間なく労災も急増―二交代制勤務
- 6 帰宅はほとんど深夜零時前後―システムエンジニア
- インタビュー 「強制された自発性」の悲劇
―甲南大学教授・熊沢誠さんに聞く - 7 五日制や管理統制のなかで―教師
- インタビュー 急増する教師の外来
―三楽病院精神神経科部長・中島一憲さんに聞く - 8 悩み・苦しみ共有する
- 9 同僚の死無駄にしない
- 労働者の姿を鮮明にした取り組みがたたかいの原点
- インタビュー 自殺予防全国ネットを
―国立精神・神経センター精神保健研究所名誉所長・吉川武彦さんに聞く
- <<投稿>> 「私の息子も過労死でした」―静岡の遺族からファックス
- あとがきにかえて―過労死生む社会に未来はない――中村隆典
著者情報
しんぶん赤旗国民運動部

「仕事が終わらない」 告発・過労死
定価1,650円
(本体1,500円)
2003年9月