
女性で初めて紙幣の肖像になった樋口一葉。代表作「たけくらべ」「にごりえ」などにほとばしる、明治時代の貧困と身分差別の中で生きる庶民の涙とため息、そこへの深い共感。その作品と二十四年の生涯をたどり、時代の制約を背負いながらも社会と人間の真実を描く作家への成長を描く。一葉の実像に迫る画期的評伝。
目次や構成
[目次]
- まえがき
- 一 夏子と樋口家の人々
- 夏子誕生
- 父祖とその郷里
- 兄妹と学業
- 二 歌塾「萩の舎」
- 萩の舎入塾
- 平民三人組と田辺花圃
- 長兄と父の死
- 父亡きあと
- 三 小説家への道
- 小説家志望
- 初対面の半井桃水
- 桃水の小説指導
- 四 一葉の恋
- 片恋
- 雪の日
- 『武蔵野』と"一葉"
- 絶交
- 五 小説稼業
- 文壇へ進出
- 『文学界』
- 文学観の深まり
- "糊口的文学"との訣別
- 六 "塵の中"の格闘
- 家さがし
- 吉原遊廓
- 商いと文学
- 久佐賀義孝を訪問
- 不安と焦躁のなかで
- 七 反骨の転身
- 「わがこゝろざし」
- 銘酒屋街に転居
- 日清戦争と『文学界』の人々
- 八 奇跡の十四ヵ月
- 「たけくらべ」執筆
- 千客万来
- 差別への抗議
- 日清戦後文学と一葉
- 九 晩年の一葉
- 一葉をとりまく人々
- 終焉
- 主要な参考文献
- 樋口一葉略年譜
著者情報
澤田章子

一葉伝 樋口夏子の生涯
定価1,980円
(本体1,800円)
2005年1月