
「人と視線を合わせるだけで体が動かなくなる」。ある青年は、その苦しい胸の内を語ります。ふえつづける子どもや青年の不登校・ひきこもり。何が彼らをそんなに苦しめるのか。教師の体験をふまえて自立支援センターを設立した著者が、青年の内面を深く理解し、立ち直りを静かに見守ってきた十五年の実践をあつく語ります。
目次や構成
[目次]
- はじめに
- 1章 歩き始めた青年のモノローグ
神経症の始まり/独特な違和感の世界/視線恐怖の中でのコンビニ通い/インターネットで人と関わる/自立センター「ゆう」との出会い/「ひきこもり」からの脱出・・・ほか
- 2章 「荒れる」学校と子どもたち
大阪に転居―驚いた学校の「荒れ」/「荒れ」に見る子どもの心/退職を決意して・・・ほか
- 3章 青年の自立支援と居場所づくりへ
自立支援センターをたちあげて/障害者とひきこもり青年の交流/青年の自立支援―三つの方向/自立支援センター「ゆう」の開設・・・ほか
- 4章 青年は、どのようにして自信を回復したか
親の安心と教師の役割/心の硬直と思考の混乱/「ひきこもり」や不登校は回復の始まり/自分で行動して成長する子どもたち/本当は親を信じている/根気もやさしさも安心から・・・ほか
- 5章 子どもの立ち直りをみつめて
学習障害のわが子/一人ひとり違う「学力の基礎」/やさしさこそが子どもを救う・・・ほか
- 終章 ひきこもり青年の支援体制を早急に
ひきこもり青年の悲惨な事件に想う/苦しみへの共感こそ/大阪=寝屋川・教職員殺傷事件に想う
- あとがき
著者情報
石井守
1944年北海道生まれ。北海道教育大学卒業。北海道・大阪で高校・中学教師。1989年、大阪で「石井子どもと文化研究所」設立。著書『家族・それぞれの自立−−体験的家庭教育論』(石井郁子と共著、教育史料出版会)など。

ひきこもり・青年の出発
定価1,540円
(本体1,400円)
2005年5月