
日本兵は、まるで大根を突き刺すように子どもを銃剣で−−。満州事変の翌年、中国東北部・撫順で起きた住民大量虐殺事件。戦後長く隠蔽されてきた未曾有の惨劇は、なぜ起きたのか? わずかな生存者の生なましい裁判証言が明らかにした実態は? 自分の生まれた大地を血に染めた事件の真相と本質を追い続ける著者執念の研究ルポ。
目次や構成
【目次】
- はしがき―生まれた国のルーツを訪ねて
- 序章
- 第一章 事件はなぜ起きたのか―事件の背景
- 一大露天堀り地帯―撫順炭鉱
- 満蒙領有めざし日本軍侵攻
- 撫順炭鉱に配置された独立守備隊
- 中国ナショナリズムと反満抗日運動
- 撫順炭鉱への襲撃
- 第二章 すさまじい住民大量虐殺―事件の実態
- 虐殺の計画と実行
- おびただしい犠牲者の数
- 生まなましい生存者の証言
- 裁判で認定された「事実」
- 隠蔽された惨劇
- 平頂山事件から見えてくる軍隊の本質
- 軍関係者を含まない瀋陽裁判の死刑判決
- 第三章 生存者が起こした平頂山事件裁判
- 棄却された損害賠償請求
- 「公正な判決を」―原告の主張
- 最高裁に移った平頂山事件裁判
- 終章
- 本文注
- 生存者情報一覧
- あとがき
著者情報
髙尾翠
1937年中国・吉林省生まれ。戦後、大学病院看護師として勤務。2005年慶応義塾大学文学部卒業、歴史研究者。

天皇の軍隊と平頂山事件
定価1,980円
(本体1,800円)
2005年11月