
いま、子どもたちは管理され競争に追い立てられてもがき苦しんでいます。弱さも未熟さも、懸命に生きている子どもたちの大切な一部です。親が、子どもの生をいとおしみ共感する心で包み込むとき、子どもは自分を信頼し、愛する心を回復させていきます。「子どもに深い愛と信頼を」と呼びかけた、あのロングセラーの新装版
目次や構成
- はじめに
- 1章 ある登校拒否の事例から
- A君の登校拒否
- 断崖に一人立ちすくむ夢
- 自立への胎動と葛藤
- 新たな自分の誕生
- 三年後のA君 ―「なぜパーマがいけないのか」
- 「やり残した仕事」 ―「自分探し」
- 「演劇的な思春期」
- 「思春期」の歴史的・社会的位置
- 2章 自立しようとするから揺れる思春期
- 自分自身への関心のめざめ
- 自立への歩み
- 揺れる「間(ま)」を与えぬ子育て
- 親からの「独立戦争」
- 3章 思春期の「甘え」と「退行」
- 思春期の「甘え」
- 「甘やかし」と「甘えさせ」
- 思春期の「退行」
―幼稚化・赤ちゃんがえり― - 一歩退行、二歩前進の育ち
- 4章 思春期の頭と心の発達
- 抽象的・論理的思考の発達
- 抽象的な「世界」の誕生と情操の発達
- 思春期の自己主張とその論理
- 「問題行動」と自己客観視の力
- 5章 「言語化」の力と「自己中心性」からの脱皮
- 「言語化」の力
- 「自己中心性」からの脱皮
- 6章 葛藤をのりこえる力
- 葛藤と直面する力の衰弱
- 葛藤を回避する子どもの人間関係
- 「他人に迷惑をかけるな」
―深くかかわらない人間関係― - 「親子ゲンカ」のすすめ
- 7章 自分を愛し信頼する心
- コペル君へのことば
- 思春期の自立とは
- 「みんな」を基準に評価するまなざし
- 子どもを主体として尊重すること
- 自分を愛し信頼する心 ―「自己信頼感」
- 「甘え」の意義
- 「共感的な他者」の存在
- 8章 「甘やかされたダメな子」論をのりこえる
- 「甘えるな」「甘やかすな」の大合唱
- 二つの「忍耐力」
―「不安」による忍耐力と「誇り」による忍耐力― - 親の子どもに対する期待
- 親の子どもに対する「甘え」
- 9章 子どもに深い愛と信頼を
- 「ふつう」の子どもがなぜ「怪物」に
- 子どもを深く信頼すること
- あとがき
- 新装版刊行にあたって
著者情報
高垣忠一郎
心理臨床家。1944年高知県生まれ。1968年京都大学教育学部卒業。専攻は臨床心理学。京都大学助手、大阪電気通信大学教授、立命館大学大学院教授などを歴任し2014年3月退職。登校拒否・不登校問題全国連絡会世話人代表。主な著書は次の通り。『揺れつ戻りつ思春期の峠』(1991年)、『生きることと自己肯定感』(2004年)、『競争社会に向き合う自己肯定感』(2008年)、『登校拒否を生きる』(2014年)、『生きづらい時代と自己肯定感』(2015年)、『つい「がんばりすぎてしまう」あなたへ』(2017年)、『自己肯定感を抱きしめて』(2018年)、『悩む心に寄り添う』(2021年)(以上はいずれも新日本出版社)、『自己肯定感って、なんやろう?』(2008年、かもがわ出版)、『ガンを抱えてガンガーへ』(2002年、三学出版)