
藤沢周平は没後十年になるが、その作品は映画、ドラマにもなり、静かなブームが続いている。読者に人生を深く考えさせ、引きつけてやまないものとは何か。旧著『人生に志あり 藤沢周平』をもとに、「白き瓶 小説長塚節」論を加えて改訂。新しい藤沢文学の世界と、その魅力をさらに深く味わう作家・作品論。
目次や構成
〔目次〕
- ひとり行く山間の小道は ―作家の軌跡と「白き瓶 小説 長塚 節」
- 闇に海鵜を描くのは
- 生活の倫理と文学の倫理
- 土の匂いとリリシズム
- 子規と左千夫と茂吉と
- 白埴の瓶こそよけれ
- 国の本は民にあり ―上杉鷹山と新井白石と
- 狐狸が棲む城内
- 幕閣をも揺るがした郡上一揆
- 封建の世に民主の香り
- 白石の笑顔と朝鮮通信使
- 忘るまじきは民の父母
- ふるさとは遠くに、近くに ―「又蔵の火」から「臍曲がり新左」へ
- 郷里はつらい土地でもある
- 兄にかわって言うことがある
- 復仇史上無雙ノ美学ナリ
- 「葉隠」から皇道的武士道へ
- 信長ぎらい
- 笑い声が余情となって
- 転機は春の日差しに似て ―市井の武家・青江又八郎、俗世の詩人・一茶
- 浪人にも生活者の眼
- ただ酒にはしゃいだ朝は
- 大石内蔵助の心中
- さまざまに「忠臣蔵」物語
- 剣も人も心ばえ
- 凡・駄句のなかに詩人の光
- 蚤も風流・蚊も風流
- 愛あり、友ありて人生 ―「海鳴り」「蝉しぐれ」、三屋清左衛門
- いつか心が真っ直ぐに
- 老いる不安、哀しみが
- ほのかながらも明かりを信じて
- 幼い日の恋も友情も
- 死にゆく者の気持ちとは
- 日残リテ昏ルルニ未ダ遠シ
- 早春の光の中で
あとがき
略年譜
主な参考文献
著者情報
新船海三郎
1947年生まれ。日本民主主義文学会会員、日本文芸家協会会員。著書に『歴史の道程と文学』『わが文学の風景 作家は語る』『史観と文学の間』『人生に志あり藤沢周平』など。

藤沢周平 志たかく情あつく
定価2,090円
(本体1,900円)
2007年8月