
スピードと結果だけを追い求める効率優先の現代社会−−その陰で、安心できる自分の心の居場所を失っている人たちがいます。本書は、困難をかかえ苦しんでいる子どもや若者、そして彼らの親たちの心の声に耳を傾け、「自分が自分であって大丈夫」「ダメなあなたでもいいんだよ」と語りかけるセラピー・メッセージ!
目次や構成
〔目次〕
- はじめに
- 第1章 地球環境の破壊と心の問題
- 地球人類の生き方が問われている
- 自然現象と欲望追求・物質生活拡大の心
- 新自由主義・市場原理主義の心
- 第2章 地球環境破壊の時代のセラピー文化
- 「心理主義」の時代と「セラピー文化」
- 競争社会と自己肯定感
- 格差社会における「内的資産」の格差
- 第3章 わたしの心理臨床実践と講演活動
- 地球レベルの不安を生きる子どもたち
- セラピー的メッセージの検討対象
- 心理臨床家(カウンセラー)が講演を行なうことの問題
- 第4章 [講演]共に待つ心たち ―もっとゆっくり・スローイングダウン―
- もっとゆっくり・スローイングダウン
- ゆれながら支えあう仲間たち
- 「信じて・任せて・待つ」
- 任せるということ
- 二つの待ち方
- 自分と共に生きる
- 「レースの人生観」と「表現の人生観」
- 「産業時間」と「生物時間」
- 「自分の物語」を書き直す力
- 登校拒否やひきこもりを生命の表現として見る
- 時間を共有する
- 効率的でないからこそ救われる
- 「感情表現」と「相互理解」を困難にする条件
- 「共に待つ」というコミュニティ
- 第5章 二つの向き合い方
- 相手を操作する、相手と対話する
- 対話的な向き合い方 ―自分を愛する―
- 生命のプロセスを大事にする
- 生き方への問い ―問いを共有する―
- 人生は何を儲けるためにあるのですか?
- 第6章 共に揺れる
- 人生に起こる地震
- 揺れることは悪いことではない
- 「さようなら」と「こんにちは」は「ゆるみ」ながらするもの
- 否定的な見方からの転換
- 他の参加者を「鏡」として自分と向き合う
- 「親の会」で語ることの意義
- 第7章 共に待つ
- 今や時間のかかることは最大の悪であり「苦」になった
- 新幹線に乗っているといつも心が遅れてついてくる
- 心と向き合うゆとりがない
- 「共に待つ心たち」のなかのカウンセラー
- 体験しながら、プロセスを追って気づいていく
- 待つことの意味・共にいて「いま・ここ」を共有する
- よく看て、よく聴き、とらわれないバランスをもった向き合い方
- 第8章 信じて、任せる
- 信じることの意味
- 任せることの意味
- 信じて任せる向き合い方がどうして可能になるのか? ―自己肯定感という花を咲かせる―
- 生命の働きにお任せする
- 第9章 再生セラピー文化の考え方
- コントロールの習性と脱マインドコントロール
- 「機械心」と依存症・嗜癖
- 二つのセラピー文化
- 「自己否定の心」は「生命のプロセス」を邪魔する
- 「自己否定の心」を受容し耳を傾ける
- 「自分を愛する心」の大切さ
- 「自己否定の心」を生み出す背景
- こういう難問とどう向き合うか?
- あとがき
著者情報
高垣忠一郎
心理臨床家。1944年高知県生まれ。1968年京都大学教育学部卒業。専攻は臨床心理学。京都大学助手、大阪電気通信大学教授、立命館大学大学院教授などを歴任し2014年3月退職。登校拒否・不登校問題全国連絡会世話人代表。主な著書は次の通り。『揺れつ戻りつ思春期の峠』(1991年)、『生きることと自己肯定感』(2004年)、『競争社会に向き合う自己肯定感』(2008年)、『登校拒否を生きる』(2014年)、『生きづらい時代と自己肯定感』(2015年)、『つい「がんばりすぎてしまう」あなたへ』(2017年)、『自己肯定感を抱きしめて』(2018年)、『悩む心に寄り添う』(2021年)(以上はいずれも新日本出版社)、『自己肯定感って、なんやろう?』(2008年、かもがわ出版)、『ガンを抱えてガンガーへ』(2002年、三学出版)