
孔明、劉備、曹操、孫権らの活躍を描き、多くのファンを持つ「三国志」は、「三国志演義」という物語をもとにしている。同時に、魏・呉・蜀の歴史を記した正史「三国志」から見ると、虚構を含む「演義」は歴史の事実とは大きく違っているものが多い。史実を軸にその虚実を探り、「三国志」の新たな魅力に迫る読み物。
目次や構成
〔目次〕
- はじめに
- 前 章 正史「三国志」と小説「三国志演義」
- 正史「三国志」と作者陳寿の立場
- 正統王朝を蜀とした「三国志演義」
- 第一章 動乱の始まり
- 【正史】
- 「黄巾の乱」勃発
- 董卓の乱――首都洛陽焼け野原に……ほか
- 【演義】
- 桃園の結義
- 姦雄曹操の姿、呂伯奢一家殺害……ほか
- 第二章 曹操の中原統一
- 【正史】
- 流浪の将軍劉備
- 官渡の戦い――自滅した袁紹……ほか
- 【演義】
- 「義」を貫いた関羽
- 「三国志」の「走れメロス」・孫策と大史慈……ほか
- 第三章 諸葛孔明 歴史の舞台へ・曹操の南征
- 【正史】
- 孔明の青年時代――梁父の吟と臥龍
- 荊州での劉備、「三顧の礼」……ほか
- 【演義】
- 軍師 諸葛孔明登場
- 爽やかな勇者趙雲……ほか
- 第四章 「赤壁の戦い」と劉備の荊州南部占領
- 【正史】
- 孫権に、抗戦を実行させたのは周瑜
- 戦いの主戦場は長江――周瑜の率いた水軍の活躍……ほか
- 【演義】
- 「赤壁の戦い」――魔術師のような孔明の智略
- 周瑜と黄蓋の「苦肉の策」……ほか
- 第五章 劉備の蜀建国
- 【正史】
- 曹操、馬超、韓逐らを破り、西の関中・涼州を完全支配
- 益州の劉璋と五斗米道の張魯……ほか
- 【演義】
- 漢中争奪戦・老将黄忠の奮戦
- 「武」を好んだ劉備の孫婦人……ほか
- 第六章 英雄たちの死
- 【正史】
- 曹操死し、後継・曹丕、帝位簒奪
- 劉備の東征と張飛の死……ほか
- 【演義】
- 豪傑関羽と名医華佗
- 庶民好みの英雄張飛……ほか
- 第七章 蜀と呉再び同盟、孔明の南征
- 【正史】
- 劉禅即位・蜀と呉再び同盟
- 南中での行政改革と人々への啓蒙……ほか
- 【演義】
- 怪物のいる国南蛮、制したのは孔明の知恵と魔術
- 第八章 出師の表・孔明北伐へ
- 【正史】
- 三国の国力比較
- 街亭での敗北・泣いて馬謖を斬る……ほか
- 【演義】
- 「空城の計」・孔明と司馬懿の心理作戦……ほか
- 第九章 北伐続く、そして孔明死す
- 【正史】
- 孫権「呉」で帝位に就くことを宣言
- 孔明の死後と陳寿の諸葛亮評……ほか
- 【演義】
- 魔法のマシーン、木牛と流馬
- 死せる孔明、行ける仲達を走らす……ほか
- 終 章 正史・三国の滅亡
- 蜀――背後をつかれてあっけなく降伏
- 魏――司馬氏に帝位を簒奪される
- 呉――暴君により終焉
- 〔余話〕歴史を鏡とする/曹操の大虐殺と南京大虐殺/いくつもあった赤壁/関帝廟
- おわりに
- 関係年表/参考文献
著者情報
菅野正則
1941年北海道生まれ。東京教育大学文学部卒。東京の麻布中学・高校で長く国語(漢文)を教え06年退職。現在、日中友好協会神奈川県連合会常任理事。

三国志の虚実
定価1,650円
(本体1,500円)
2010年6月