
啄木の日記には、自身の生き方、性をめぐるさまざまな煩悶や社会への憤り、大逆事件の衝撃、社会主義への目覚めなどが正直かつ克明に記録されている。韓国の大学での講義への反響も紹介しながら、時代や国境を越えて感動を与える啄木の新たな魅力を読み解く。多くの啄木研究書の中でも日記を中心に論じた初めての評論。
目次や構成
- はじめに
- 1 絶望の中で自らを鼓舞
心の高ぶりを抑え癒すもの/故郷の自然に癒される/都会への憧れと怖れ/ - 2 社会主義への目覚めと模索
日露戦争に昂奮/社会主義の実現を研究すべき時代に/大逆事件の衝撃/ - 3 啄木日記の魅力とは
ドナルド・キーンの評価/正直に赤裸々に真実を書くことの魅力とは/ - 4 日記作品化への努力
作品化された「林中日記」/日記帳を変更して書き直す/官能的な描写の意味/ - 5 国際性を持つ日記の意義
韓国での啄木の受容/『ローマ字日記』のゼミ/赤裸々さと煩悶と/ - 石川啄木の略年譜
- あとがき
著者情報
池田功
1957年新潟県生まれ。明治大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。韓国・東国大学校特別招聘専任講師、ドイツ・フライブルク大学及びボン大学日本文化研究所客員研究員を経る。現在、明治大学政治経済学部教授、同大学院教養デザイン研究科教授、文学博士、国際啄木学会会長。主な著書に『石川啄木 その散文と思想』(2008年、世界思想社)、『新版 こころの病の文化史』(2008年、おうふう)、『啄木日記を読む』(2011年、新日本出版社)、『啄木 新しき明日の考察』(2012年、新日本出版社)、『石川啄木入門』(2014年、桜出版)。

啄木日記を読む
定価2,090円
(本体1,900円)
2011年2月