
反体制・反戦的な思想・言論を取締った特高警察。太平洋戦争末期、短期間ながら特高係として勤務した著者がその一端を証言する。「反戦投書」への検閲・弾圧など「特高」の実態、外勤巡査の戸口調査…体験者だけが知る歪んだ姿と秘密裏に持ち出した「不穏文書」。「あの時代」を繰り返さぬため語り継ぐ、熱い思いが溢れる。
目次や構成
- はじめに
- 第1章 反戦投書―戦時下、庶民のレジスタンス
- 1 反戦の日に出会った「不穏文書」
- 2 探しあてた投書の主は……
- 3 戦争と言論弾圧
- 資料 反戦投書写真と『特高月報』の記載
- 第2章 戦争末期の短い「特高」経験の中で
- 1 私自身のことと警察勤務
- 2 特高係の「使い走り」として
- 3 八尾署へ、そして八月一五日
- 4 敗戦後
- 第3章 戦争の記憶と現在
- 1 教育召集でのこと
- 2 大阪大空襲
- 3 疎開道路をめぐって
- 4 戦後の私の日々
- 解説 大日方純夫
著者情報
井形正寿
1921年、大阪市生まれ。大阪市立難波実業学校を卒業後、戦時下の大阪府で警察官となり「特高係」としても勤務。現在は郷土史家。福島区歴史研究会事務局長、大塩事件研究会副会長などを務める。

「特高」経験者として伝えたいこと
定価1,540円
(本体1,400円)
2011年6月