
3・11東日本大震災と原発災害では、これまでの応急対策に偏重した防災対策が機能せず、逆に災害への脆弱性を増大させてきたことが明らかになった。本書はその教訓を踏まえ、災害の未然防止対策を重視した政策への転換を強調。その観点から原発災害についても地域防災の立場からの問題提起を含め、新たな防災政策を提起する。
目次や構成
- 〔目次〕
- はじめに
- 第1章 災害を科学する
- 1 災害とは、防災とは
- 2 再生産される災害危機の発生構造
- 3 防災対策の視座
- 第2章 都市と国土の災害脆弱性の進行
- 1 3・11大震災で明らかになった防災の前提
- 2 自治体「防災計画」の崩壊
- 3 地域防災の要点
- 第3章 生活圏の災害危機と防災対策のあり方
- 1 首都東京の災害危機と防災対策
- 2 住宅地の地盤災害対策
- 3 木造住宅の耐震化対策
- 4 木造密集市街地の防災対策
- 5 高層集合住宅の防災対策
- 6 大規模危険物施設への防災対策
- 第4章 防災対策における行政の役割と問題点
- 1 行政防災計画における問題点と課題
- 2 土地利用規制と災害危機の蓄積
- 3 社会基盤の整備と災害対策
- 4 「自助・共助・公助」と地域防災
- 第5章 原子力災害と地域防災
- 1 立地自治体の原発災害対策
- 2 地域防災からみた原発災害
- 3 地域防災の“閾外施設”を立地しない
- 第6章 これからの防災対策を展望する
- 1 地域防災の推進
- 2 地域社会における防災まちづくり
- 3 コミュニティー防災の強化
- 4 災害対策と持続可能な社会づくり
著者情報
中村八郎
1946年長野県生まれ。東京都国分寺市役所で20年間、防災都市づくり、都市計画の業務に取り組む。現在、NPO法人環境・災害対策研究所副理事長、NPO法人くらしの安全安心サポーター理事長・日本大学理工学部大学院、東京農工大学農学部非常勤講師。著書に『災害に強い都市づくり』(共著・新日本出版社)、『都市の計画と防災』『防災コミュニティ 現場から考える安全・安心な地域づくり』など。

地震・原発災害 新たな防災政策への転換
定価2,420円
(本体2,200円)
2012年5月