
『西遊記』で有名な唐の三蔵法師(玄奘三蔵)は仏典を求めて15年余の間、中国からインドまで旅をした。その足跡が色濃く残されているシルクロードを辿り発掘調査した著者が、現在の中央アジア地域の風土・文化と三蔵法師の生涯を紹介。日本に伝えられた文物をひもときながら、絹の道がもたらした文化を考える歴史紀行。
目次や構成
【もくじ】
- 序 日本とシルクロード
- 「列孤島」ではない日本
- 優れた古代日本の工芸品ーー正倉院
- 異文化の咲く大仏開眼供養会
- Ⅰ 玄奘三蔵(三蔵法師)とシルクロード
- 死後も旅する玄奘三蔵
- シャカの教えを広めた人々
- 玄奘求法前後の唐朝
- 玄奘の出生
- 玄奘の旅と経費
- 高昌国王麴文泰の助力
- 玄奘を襲った盗賊と法華経
- 求法の旅の終わり
- II シルクロード探訪
- 1 東ローマの金貨
- 2 アフガニスタン
- 3 中央アジア
- 4 キルギス
- 5 シリア、イラク、イラン、ロシア
- 6 中原と匈奴
- 7 インド
- 8 ソグド移民
- 9 海の道
- III シルクロード研究の今後
- 日本から流出した極彩色絵巻
- 尽きないソグドへの興味
- 各分野の研究を横断的に
- あとがき
日本と中国は近くて遠い国かのような報道や政策が時には見られるが、歴史的にもシルクロード文化が伝わっている深い絆がある。本書が読者にそういうことを想起させ、日中友好の一助になればと思っている。(「あとがき」より)
著者情報
菅谷文則
1942年奈良県生まれ。関西大学大学院修了。奈良県立橿原考古学研究所で古墳などの発掘に従事し、北京大学に留学。帰国後、シルクロード学研究センター研究主幹などを経て、95年から2008年まで滋賀県立大学教授。09年から橿原考古学研究所所長。著書に『日本人と鏡』(1991年、同朋舎出版)。共著に『古代の鏡と東アジア 卑弥呼の鏡は海を越えたか』(2011年、学生社)『悠久なるシルクロードから平城京へ』(2008年、雄山閣)など多数。

三蔵法師が行くシルクロード
定価2,090円
(本体1,900円)
2013年3月