
かつて戦争による領土決定は当然視された。その時代から「領土不拡大」の原則がどのように確立・定着してきたのか、一〇〇年の歴史を追って検証する。第二次世界大戦での日米関係、大西洋憲章、ヤルタ秘密協定などをめぐる米国の公式外交文書も研究し、貴重な発見も。ロシアによるウクライナ侵略の行方を考える上でも必読!
目次や構成
<目次>
- はじめに
- 第1章 「領土的其ノ他ノ増大ヲ求メス」の理念の形成
- 1 第一次世界大戦—開戦からパリ講和会議へ
- 2 第一次世界大戦後の国際連盟内外での戦争の規制と禁止の試み
- 3 「一九二九年パリ不戦条約」の成立と国際秩序の転換
- 4 大西洋憲章(「領土的其ノ他ノ増大ヲ求メス」)へ
- 第2章 満洲事変からアジア・太平洋戦争へ—日米交渉と「領土不拡大」原則
- 1 「日米交渉」再開、ルーズベルトの条件
- 2 「帝国国策遂行要領」と対米新提案
- 3 首脳会談の行方
- 4 理解できない原則
- 第3章 交錯する領土要求と戦後構想—第二次世界大戦の進行と「領土不拡大」原則
- 1 連合国の形成と相互支援交渉の開始—一九四一年〜一九四二年
- 2 初の米英ソ首脳会談(テヘラン、一九四三年一一〜一二月)へ
- 3 二回目の三国首脳会談(ヤルタ、一九四四年)へ
- 4 「千島引き渡し」はルーズベルトの戦後構想にもとづいて決定された
- 第4章 二〇世紀から二一世紀へ—植民地体制の崩壊と「領土不拡大」原則の徹底
- 1 ヤルタから「トルーマン・ドクトリン」へ—米ソの「冷戦」
- 2 国連憲章の成立と植民地体制の崩壊
- 3 現代の戦争と平和
- 第5章 ウクライナ侵略と国際秩序の行方
- 1 「特別軍事作戦」—根拠と目的、動機
- 2 安全保障と抑止
- 3 抑止力に代わるもの—紛争を武力紛争にさせない措置
- 4 国際秩序の行方
著者情報
森原公敏
1949年、広島県出身。日本共産党国際委員会副責任者。1973年山口大学卒業。「赤旗」記者としてワシントン特派員、ロンドン特派員などを歴任後、現職。著書に『NATOはどこへゆくか』(新日本出版社、2000)。

戦争と領土拡大 ウクライナと国際秩序の行方
定価1,980円
(本体1,800円)
2022年10月