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国策売春の実態と人々の眼差し。性的人格権を考える

占領期の性暴力 戦時と平時の連続性から問う

芝田英昭=著

定価2,420円(本体2,200円)

出版年月
2022年12月
ISBNコード
978-4-406-06693-8
仕様
0036/ 四六判並/ 320P
タグ
社会    社会一般   
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1945年の敗戦直後、日本政府は占領軍向け「慰安」施設をつくった。銀座にあったRAA(特殊慰安施設協会)など、政府が今も関与を否定する売春施設の経緯と実態を解明する。ジェンダーの観点から現代史の暗部に学問の光を当て、ひるがえって、性産業のあり方や従事する女性の「自己責任」論なども検討した労作。

目次や構成

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<目次>

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  • はじめに
  •   
  • 序 章 なぜ占領期の性暴力を議論すべきなのか
    • 一 「占領期」の理解
    • 二 性暴力と人権の関係性
    • (1) 性暴力の前提としての性的自由権・性的自己決定権の意義と限界
    • (2) 性暴力を性的人格権から捉える視点
    •   
    • 第1章 占領期の国策売春施設設置と国や警察の関与
      • 一 占領軍「慰安」施設設置に国や警察が関与した公文書は存在しないのか
      • 二 占領軍用「慰安」施設としての「特殊慰安施設協会」(RAA)の設立の経緯
      • (1) 内務省と警視庁は占領軍「慰安」所設置にどう関わったのか
      • (2) RAAはどのように宣伝されたのか
      •   
      • 第2章 特殊「慰安」施設の資金調達と各都道府県の動向
        • 一 RAAの資金調達
        • 二 内務省通牒を受けた各都道府県警察(一般行政も含む)の動向
        • (1) 山梨県下の状況
        • (2) 神奈川県下の状況
        • (3) 群馬県下の状況
        • (4) 埼玉県下の状況
        • (5) 兵庫県下の状況
        • (6) 新潟県下の状況
        • (7) 広島県下の状況
        • (8) 長崎県下の状況
        •   
        • 第3章 日本の公娼制度と占領下日本における米軍性政策の展開
          • 一 日本における近代公娼制度の確立
          • 二 第二次大戦までの米軍の性政策の概要
          • 三 第二次大戦下の米軍の性政策
          • 四 米軍の「性対策」の歴史と第二次大戦後の日本の性政策に与えた影響
          • 五 朝鮮戦争以降の基地売春問題
          •   
          • 第4章 エゴ・ドキュメント分析 1――日本人の日記・回想録から
            • 一 高見順『敗戦日記』
            • 二 大佛次郎『終戦日記』
            • 三 山田風太郎『戦中派不戦日記』
            • 四 徳川夢声『夢声戦争日記』
            • 五 回想録から見えてくる終戦と女性観
            • (1) 吉村昭『東京の戦争』
            • (2) 小林信彦『一少年の観た〈聖戦〉』
            • (3) 小関智弘『東京大森海岸ぼくの戦争』
            •   
            • 第5章 エゴ・ドキュメント分析 2――日本国憲法GHQ草案作成に関わった米国人
              • 一 日本国憲法制定に関わる経緯
              • 二 GHQ草案「人権に関する委員会」の二人、H・E・ワイルズとB・シロタの回想録
              • (1) ワイルズ『東京旋風――これが占領軍だった』
              • (2) ベアテ・シロタ『1945年のクリスマス――日本国憲法に「男女平等」を書いた女性の自伝』
              •   
              • 第6章 エゴ・ドキュメント分析 3――占領期日本に滞在した外国人の日記・回想
                • 一 占領期日本に滞在したジャーナリストの日記及び論考
                • (1) 克明な日本滞在日記を残したマーク・ゲインの日本人女性観・性意識
                • (2) ニューヨーク・ポスト支局長ダレル・ベリガンの日本人女性観・性意識
                • 二 占領期医療福祉政策を牽引したGHQ高官サムス准将の回想に見る女性観
                •   
                • 終 章 性暴力における戦時と平時の連続性
                  • 一 日本軍「慰安婦」問題と占領軍「慰安婦」問題の共通性
                  • 二 戦時と平時――売買春における経済的誘導・社会文化的誘導、社会的強制
                  • 三 売買春の非犯罪化の流れ――ニュージーランド・モデルと北欧モデル
                  • (1) ニュージーランドの売春改革法二〇〇三(PRA)
                  • (2) 北欧モデル
                  •   
                  • 終章のおわりに
                    • (1) 性労働において性的自己決定権は行使されているのか
                    • (2) 性的人格権の確立への視座

著者情報

芝田英昭

立教大学コミュニティ福祉学部教授(社会保障論)。1958年福井県出身。金沢大学大学院博士後期課程単位取得退学。博士(社会学:立命館大学)。福井県職員、西日本短大専任講師、大阪千代田短大専任講師、立命館大学産業社会学部教授を経て現職。自治体問題研究所顧問。水彩画家、社会運動家。『社会保障のあゆみと協同』(2022年、自治体研究社)、『くらしと社会保障』(2021年、日本医療福祉生活協同組合連合会)、『医療保険「一部負担」の根拠を追う』(2019年、自治体研究社)、『新版 基礎から学ぶ社会保障』(共編、2019年、自治体研究社)、『日本国憲法の大義』(共著、2015年、農文協)、『国保はどこへ向かうのか』(編著、2010年、新日本出版社)など著作多数。

占領期の性暴力

占領期の性暴力 戦時と平時の連続性から問う

定価2,420円
(本体2,200円)

2022年12月