
古代以来の神社の姿を取材すると、意外に朝鮮半島から来た「神々」が多い点に気づきます。また「天孫降臨」神話も含め天皇の先祖がどこから来たかを探ると、やはり国際色豊かな諸説が。やがて見えてくるのは「伝統」を偽装して国策に利用し、戦争など国民に苦難を強いた国家権力の姿。今の私たちに問いかける歴史紀行です!
目次や構成
<目次>
- 第1章 伝統とは何か――「歴史的な内実」を見る
- 1 『後漢書』が記す「伝統」
- 2 明治時代につくられた「新漢語」
- 3 パリ万博きっかけに「伝統」発掘
- ◇コラム1 文化財としての「伝統」
- 4 「出雲の阿国」はどこ行った!?――歌舞伎の原点
- 5 「やきもの」の歴史と朝鮮陶工
- ◇コラム2 「的」がつくかつかないか――「伝統工芸品」と「伝統的工芸品」
- 6 「死んだ伝統」と「真の伝統」――シェーラーの論考
- 7 「伝統」は近代に創られた――ホブズボウムの言説
- 第2章 神社という「伝統」の正体
- 1 「ご神体」は山や森――国境を越える「祈りの場」
- ◇コラム3 済州島――祈りと苦悩の歴史
- 2 鳥が居ないのになぜ「鳥居」というのか
- ◇コラム4 倭人は日本人のルーツなのか?
- 3 祀られている神はどこから来たのか――8割超が渡来系
- 4 天皇が重視した「上七社」と朝鮮半島との関わり
- ◇コラム5 アジアを舞った「3本足の烏」
- ◇コラム6 「宿禰」と「宿儺」の謎
- 5 中世が神社の造立ラッシュ――渡来神の広がりと皇室祖神への置き換え
- 6 国家神道による神社の偽装
- ◇コラム7 熊楠とソロー「森の思想」と抵抗の精神
- 第3章 天皇と天皇制の内実
- 1 「記紀神話」の虚実――偽装の始まり
- 2 天皇はどこから来たのか――学説が示す朝鮮渡来説
- ◇コラム8 「大和」はなぜ「ヤマト」と読むのか
- 3 天皇家の守護神「園神・韓神」
- ◇コラム9 倭王権そしてヤマト王権の終焉
- 4 中世から江戸時代の天皇――「学問と和歌」を学び、暦と元号づくり
- ◇コラム10 孝明天皇の一日とその急死
- ◇コラム11 天皇家の信奉した天台宗と真言宗
- 5 神仏分離令と天皇家の仏教色排除
- 6 古代に復帰――大日本帝国憲法と教育勅語による天皇制ファシズム
- 7 偽装されたまま温存された「伝統」
- 終 章 「未来の伝統」のために――自覚と自立の地平
- 1 伝統の呪縛と「困った伝統」
- 2 「未来の伝統」を模索する
おわりに――未来とは明日のことである
はじめに――「伝統」をめぐる断章
著者情報
片岡伸行
1954年、静岡県生まれ。日刊新聞、週刊誌の編集・記者を経て、2022年2月以降、フリーの文筆業。著作に『神々のルーツ――「祈りの場」から見た古代日本』(2024年、新日本出版社)。
神々のクロニクル 神社と天皇の内実
定価2,640円
(本体2,400円)
2025年8月











