
うたい文句とは反対に,金融市場の大規模な投機化,無政府性などを引き起こす金融グローバル化。本書は,この複雑な現代国際金融システムの構造,変化,問題点について,まとまりのある理解を得るために書き下ろされた一冊。
目次や構成
目次
- はしがき
- Part1 金融グローバル化とは何か
- I 外国為替取引「一日一兆五〇〇〇億ドル」の謎
- 天文学的な外国為替取引
- 資金の国際的な移転
- ヘッジ・裁定・投機取引
- 為替スワップ取引
- 投機取引はなぜ取引額を膨張させるのか
- II グローバルな金融市場とは何か
- ユーロカレンシー市場
- ユーロボンド市場
- ユーロ・シンジケートローン市場
- その他のグローバル金融市場
- III 誰が金融グローバル化を進めたのか
- 大手金融機関のグローバル化戦略
- IMF・世界銀行による金融自由化の推進
- アメリカ議会・政府の市場開放要求
- I 外国為替取引「一日一兆五〇〇〇億ドル」の謎
- Part2 金融グローバル化は何をもたらしたのか
- IV ヘッジファンドと金融市場の投機市場化
- 一九九八年のロシア金融危機が浮き彫りにしたもの
- 大手金融機関とヘッジファンドの結び付き
- 国際金融市場の投機市場化
- 東アジア通貨危機とヘッジファンド
- V タックスヘイブンと国際金融市場の迷宮化
- タックスヘイブンとは何か
- タックスヘイブンの現況
- 国際金融市場の迷宮化
- VI アメリカの金融的覇権とアメリカンスタンダード
- アメリカのマネーセンター銀行の世界的覇権
- 金融業のアメリカンスタンダードとは何か
- アメリカンスタンダードの危険性
- VII 金融的富の集中と経済格差の拡大
- 金融資産の膨張と富裕層の増大
- 世界的に広がる所得と資産の拡差
- 途上国経済の停滞と債務奴隷化
- IV ヘッジファンドと金融市場の投機市場化
- Part3 金融グローバル化に何を対置するのか
- VIII BIS規制は金融安定化に貢献するのか
- なぜBIS規制が問題なのか
- BIS規制の歴史的背景
- 自己資本比率規制の展開と矛盾
- 市場リスクの管理(VAR)の展開と矛盾
- BIS規制のジレンマをどう克服するのか
- IX 資本取引は果たして規制できるのか
- 資本取引を規制する必要性
- 短期資本の規制の難しさ
- チリおよびマレーシアの資本規制
- 資本規制の可能性
- X 政治の役割に何を期待するのか
- これは「ゼロサムゲーム」なのか
- 「匿名の参加者」?
- 大統領には何ができるのか
- 経済民主主義と政治の役割
- VIII BIS規制は金融安定化に貢献するのか
- あとがき
著者情報
高田太久吉
1944年生まれ。中央大学商学部教授。主な著書に『現代企業の支配とネットワーク』(共編著)『日中金融システム比較』(共著、いずれも中央大学出版部)『金融グローバル化を読み解く』(新日本出版社)など。

金融グローバル化を読み解く〈10のポイント〉
定価2,750円
(本体2,500円)
2000年7月