
石器時代人は頭も悪く生活もみじめだった!果たしてそうでしょうか?この本は、そんな疑問にわかりやすく答えてくれます。石器や古墳は、古代社会の情報の宝庫です。大昔の私たちの祖先の生活や国家の成り立ちが見えてきます。本書は、古代へ人類が足を踏みだした数千年前から古代社会の爛熟期・奈良時代までの考古学入門です。
目次や構成
- はじめに
- 第一章 岩宿時代−日本原始社会の第一段階
原始から古代へは歴史上最大の画期/ヒトとサルとの違いは直立歩行/石器時代人は頭が悪かった!?/利器として長期活用されたサヌカイト/更新世から完新世へ大激変
- 第二章 縄文時代−平等平和な原始社会とその限界
世界各地で育まれた高度な文化/約一万年前の新石器革命/世界一豊かだった日本列島/縄文人の主食は木の実や根菜類/木の実の調理法−煮沸から製粉へ/弓矢の発明と狩りの成功率/土器の発明−その人類史的意義/縄文土器の型式と編年/約六千年前の温暖化と縄文海進/縄文文化の浮き沈みと出土品/平和で平等だが自由でない社会/縄文人の呪術と禁忌
- 第三章 弥生時代−本格的な鉄器時代の開幕へ
西日本の突帯文土器文化/水稲農耕文化と日本人の形成/水稲農耕文化複合と金属器/石器から金属器へ−世界史の飛躍/戦争は農業とともに始まった/水稲農耕と共同体首長の役割/弥生時代中期の「クニ」の実像/青銅器をめぐる文化変容/本格的な鉄器時代の開幕へ/環濠大集落の解体と高地性集落/時代と社会を反映する墓地遺跡/弥生時代のお墓のいろいろ
- 第四章 古墳時代−古代の産業革命期
大形墳丘墓の展開と有力首長/ホケノ山墳丘墓と箸中山古墳/墓道のアウフヘーベンと社会/三角縁神獣鏡の謎と古墳時代/奈良盆地東辺の大和古墳群/大王墳−佐紀から古市・百舌鳥へ/稲荷山鉄剣とワカタケル大王/五〜六世紀は古代の産業革命期/中小首長の台頭と群集噴/継体天皇(オオト王)と今城塚古墳
- 第五章 古代天皇制国家とその時代
万世一系の皇室系譜の創作/本格的な大伽藍−飛鳥寺の創建/狭山池の造成−農地の大規模開発/乱開発から河内飛鳥を守る運動/ユニークな新堂廃寺とお亀石古墳/宮都と木簡−古代人の貴重な記録/本格的な日本古代国家の成立/血塗られた二月十一日の歴史/律令国家の全国画一支配/聖武天皇による大土木事業/研究者と住民が一体となって保存運動を
- あとがき
著者情報
石部正志
1931年生まれ。元宇都宮大学教授、日本考古学協会会員、文化財保存全国協議会常任委員。<BR> 主な著書 『奈良世界遺産と住民運動』(共著、新日本出版社)、『文化遺産の危機と保存運動』(共著、青木書店)、『河内飛鳥を訪ねてみよう』(編著、松籟社)、『遺跡保存の辞典』(共著、三省堂)、『徹底批判「国民の歴史」』(共著、大月書店)他

考古学万華鏡
定価1,650円
(本体1,500円)
2004年6月